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2016年06月14日(Tue)

SF/デッドプール etc

6月1日~6月11日

SF

最近SFをちょくちょく読んでるのですよ。私、よくSFファンと勘違ひされるのですが(ホラーファンとも思はれがち。なんでやねーん!)、SFファンではありません。確かに小学生の頃に筒井康隆や星新一にハマりましたが、それっきり。ディックやバラード、ハインラインにアーサー・C・クラークあたりは読んでますが、これらは別にSFファンぢゃなくても読むでせう。
とにかく、私は特にSFに興味はなかったし、自分はSFとは合はない、といふ自覚がありました。それが、ここ最近ポツポツとSFを読んでゐる。何故か。それは・・・アニメを観る様になったからなんですねー。

どーやらアニメとSFは因縁浅からぬものがある様なのです。まぁ、日本のアニメの始まりが『鉄腕アトム』だったり、アニメ史を劃するとされる作品『ガンダム』『エヴァンゲリオン』『魔法少女まどかマギカ』が全てSFだったりと、言はれてみればさうなのかもしれませんが、イマイチよく分からん所もある。(ちなみに私は『まどマギ』をSFと思った事はありませんよ。でも、これSFになるらしい。って事は『ドラえもん』とかもSFなんでせうねぇ)
とにかく、アニメに興味を持って、それ関係のネットや書籍を漁ってると、「SF」「SF」といふ言葉がやたら入ってくるのです。すると自然、SFに興味がいくのが人情といふものでして・・・。
んで、ポツポツとSFを読む様になると、なんとなく“SF界”といふものが見えてきて、その厖大な沃野に茫然となる・・・といった感じなのです。しかし・・・45歳過ぎてからSFといふ世界に踏み出すなんてどーなんよ、と、45歳を目前にアニメにハマり、その広大な世界に目眩をしてゐる私は思ふのでした。こら大変やー(楽しいけど)。

ここで、この1~2年で私が読んだSFの中で、特に印象的だったものをいくつかあげませう。
まづ、ベタですが一番面白かった作品。それはテッド・チャンの『あなたの人生の物語』。これは短編集なんだけど、全ての作品が面白かった。科学的なアイデアが核にあってまぎれもなく“SF”って感じで、且つ、それらのテーマが自覚的に哲学的な所まで届いてる感じが素晴らしい。語りも上手くて、まぁ、SFといふ枠を飛び越えて(←すぐかういふ事を言ってしまふ)全ての人に薦めたい作品集。

ラファティ『地球礁』。ラファティはその昔『九百人のお祖母さん』といふのを読んだ事があって、それは確かSF!って感じがしたはずだけど、これはなんか違ふ。いやプーカ人ってのが地球人に紛れて住んでゐる話なんだけど、SF感があまりない。ってか、私がさう感じないだけで、紛れもないSFなんだらうけど。個人的には幻想小説っていふか。いや、メチャメチャ面白いけどね。好きなタイプの作品です。

『楽園追放 rewired』虚淵玄+大森望 編。これ、劇場アニメ『楽園追放』に絡めて出されたサイバーパンク集なんだけど・・・私、サイバーパンクって割とリアルタイムだったんですよね。で、その時に調子に乗ってギブスンの『ニューロマンサー』とか読んだんですが・・・正直言って、その時は面白さが全く分かりませんでした!で、私はそのままサイバーパンクもスルーしたんですが・・・、この短編集読むと、メッチャおもしろい!どれもこれも面白いですが、特に、ギブスンの『クローム襲撃』が面白くて・・・なぜだー!
まぁ、私も変はったんだな。『ニューロマンサー』読み直すべきなのか・・・。

わ、これアニメやん!・・・てな感じで面白かったのがジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの『たったひとつの冴えたやりかた』。これも短編が三つ入ってるんだけど、その最初のやつ、正に『たったひとつの冴えたやりかた』と題されてる話ね。主人公がティーンの女の子だし、話の展開とかねぇ。私は完全に頭の中でアニメ変換して読んでましたよ。ラストは大泣き。うーん、やっぱアニメとSFは浅からぬ因縁があるのか・・・。

最後に、一番最近読んだ奴。グレッグ・ベアの『ブラッド・ミュージック』。これも凄く面白くて、一気に読んでしまったんだけど・・・なんか、やっぱちょっと私、SF者ではないな、と感じた作品でもありました。面白いけど、そこまで乗り切れてない感じがする。これハードSFで、遺伝子操作の果てに人類が他のものに変はってしまふ様を、全世界規模で描く・・・といったもの。語り口も上手く、読み始めたら止まらない面白さに満ちてゐるんだけど、なんつーか、この世界観自体に微妙に乗り切れない部分がある。多分、私の想像するSF者って、かういった世界観にズキュン!となる人たちなのではないか、と。違ふかな?
誤解を招くかもしれないけれど、『あなたの人生の物語』を読まずに死んだら、損した!と思ふけれど、この『ブラッド・ミュージック』は別に読まずに死んでもいいか、と思へる・・・といった感じ。いや、面白いんだけどね、凄く。でも、面白かったらそれでいい訳ではないでせう?

番外編で水玉螢之丞の『SFまで10000光年』。これ、絵付きのエッセイ集なんだけど・・・無類におもろいのね。私には書いてる事の半分くらゐしか分からない、といふ欠点はあるんだけど・・・“ワイルドカード”とかね、なんやねんそれ?・・・それでも面白いといふのは、やっぱ凄いのでは。
この人も、SFとアニメ(とゲーム)が一体化してるのね。それがまんま生きる事になってゐる、といふか。うーん、やはりさうか。ウテナとかカヲルくんが出て来ると(絵でね)、それだけで「オッケー!」って感じになります。あ、ゲームネタはホント、さっぱり分からないけどね。

てな感じで、ボチボチとSFを読む生活です。次はバリントン・J・ベイリー『カエアンの聖衣』でも読まうかと。だって帯に『キルラキル』の絵がついてるからねー。

デッドプール
MOVIX京都で『デッドプール』を観ました。これもアメコミ映画。なんか最近はアニメと、実写映画ではアメコミもんばっかり観てゐる気がするんだけど・・・とはいへ、私はアメコミそのものはほとんど分からないんだけどね。アメコミの世界もまた厖大だから・・・そこまでよーつき合はんわ。
故に、デッドプールとかも全く知らないキャラだったんだけど、マーベルっつーから、MCUか、と思ったらX-メン関係だったのね。つまりはミュータント。街の不良が騙されてミュータントにされて、その復讐を果たす、って話。
やー、痛快、痛快。何よりデップー(デッドプール)自身が魅力的で、終始軽口を叩いてゐる。軽口、ってのは、その名の通り物事を軽くする、重力から解き放つ作用があるんだよね。真面目とか、正義とか、道徳とか、秩序とか、立派とか、さういった重ーいものから我々を解き放ってくれる。デップーは徹底してて、スーパーヒーローものの世界観も、映画といふ制度そのものも、茶化して、相対化して、軽く解き放つ。これを痛快と呼ばずして何と言おう!
次は秋に来る『スーサイドスクワッド』が楽しみですね。

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