ユリ熊嵐/肝硬変 [etc]
9月18日~9月26日
ユリ熊嵐
アニメ『ユリ熊嵐』全12話を観了いたしました。これは幾原邦彦によるオリジナルアニメで、『少女革命ウテナ』『輪るピングドラム』に続く3作目。幾原邦彦は、私の最も新作を待望するアニメ作家の一人で、2015年にこの『ユリ熊嵐』が放映された時は、人生で初めてテレビを持ってない事を後悔しました。
で、やっと観た『ユリ熊嵐』。幾原邦彦作品は、その象徴性の高さと独特のスタイリッシュさで難解をもってなるものですが、この『ユリ熊嵐』は全2作に較べて、圧倒的に分かりやすい。こんなに分かりやすくていいのか?話数も、前2作より随分短いし・・・と、最初は些か物足りない気持ちで観てゐたのですが、やはり後半になるとグググーっと惹き付けられ、ラストでは茫然として感動しました。やっぱ凄いわ・・・。
今回は『ユリ熊嵐』について、ちょっと書いてみたいと思ひます。
─── ここから、ちょっとネタバレあり!───
さきほど私は、この『ユリ熊嵐』は『ウテナ』『ピンドラ』に較べて圧倒的に分かりやすい・・・と書きましたが、それは『ウテナ』『ピンドラ』を観てきたからこそ、といふ側面があるかもしれません。といふのも、幾原邦彦は芸術家肌といふか、描きたいテーマがしっかりあって、全ての作品はその変奏である、とも言へるからです。出て来る用語も、“箱”“透明”“運命”“約束”・・・と重複してゐる。故に、『ウテナ』『ピンドラ』を観た眼でみると、かなり分かりやすいのだと思ふのです。
むろん、幾原邦彦の持つテーマは幾つかあるのですが、この作品では“現代人は愛し得るか”とでも言ったテーマが全面に出てゐると思はれます。近代的自我といふ“箱”によって護られて“個人”となった現代人。“箱”によって護られるのは安心だけど、“箱”によって隔てられてゐるが故に他人と真に接する事ができず、孤独だ。孤独は嫌だ・・・けれど、“箱”を壊されるのは、恐いし、傷つきたくないし、自分を否定されたくないし、権利の侵害は許せないし・・・で、それも嫌。ならどうやって“愛”は可能なのか?
「私たちはあなたたちが最初から大嫌いで、最初から大好きだった。だから本当の友だちになりたかった。あの断絶の壁を超へて。(←うろ覚へですが、大意はこんな感じ)」といふセリフが繰り返されるのは、このテーマを表してゐると思はれます。
さて、この『ユリ熊嵐』の世界では、熊の世界と人間の世界があって、それらは断絶の壁によって隔てられてゐます。そして、熊と人間は、お互ひを敵として争ってゐます。そんな世界で、如何にして熊と人間は友だちになれるのか・・・といふお話。
熊は人間を食べます。相手の自我をぶっ壊して、自分と同化させ、孤独を埋める方法です。これに対して、人間の世界では、透明になる、といふ方法が選択されてゐます。自我を透明にして、ない事にして(もともと“ない”のなら、自我は傷つかない)、みなと同化して孤独を埋める方法。故に、熊の世界と人間の世界の狭間にある“断絶コート(法廷)”では、「あなたは透明になりますか?それとも人間を食べますか?」と問はれるのです。
しかし、どちらの方法を採っても、そこに“愛”はない。本当の意味で、孤独は癒されない。自我を護っても(熊の方法)、自我を無化しても(人間の方法)、それは“愛”へと至る真の解決法ではない。では、どうすればいいのか?
むろん、“第三の道”を採るのです。正と反、肯定と否定、陰と陽・・・などの二元論を超へるには、正であり反、肯定であり否定、陰であり陽、大好きであり大嫌い・・・といふ第三の道を行く。それがあらゆる神秘思想の要諦で、この世を超へる事です。そして、第三の道を行ったものは、この世から消へてしまふ・・・これも、幾原邦彦が全てのオリジナル作品で繰り返し描いてきた事です。この『ユリ熊嵐』でも、それは描かれ、我々は茫然として感動するのです。
ところで、私が『ユリ熊嵐』を観て、最も心動かされた点は実は別にあって、それはこの作品が、実は『クマのプーさん』の続編ではないか?といふ点です。正確には『プー横丁にたった家』の続編。まぁ、クマと人間の話だし、みるん王子、といふキャラも出て来るので、あながち的外れでもないかと。
『プー横丁にたった家』のラストで、ロビンは、大人になるからもう一緒に居られない、とプーさんたちに別れを告げます。そして、いつか戻ってくるから待っててくれる?といふロビンに対して、プーさんは「ボクまってます」と答へるのです!!・・・私はここを読むたびに泣けて泣けて・・・プーさん、待っててくれてるんだ・・・。
『ユリ熊嵐』では、小熊の銀子と、少女の紅羽が、真に幸福な時間を持ちます。が、時を経て、彼女たちは断絶の壁に引き裂かれ、長じてから、敵同士となって相見へる事になるのです。その間、“スキを諦めなかった”のが熊の銀子だった、といふのも、ズッと待ってゐるのがプーさん、といふのと符合する。人間は、忘れるからなぁ・・・。
だから、私はラストで、小熊の銀子と少女の紅羽が抱き合ってゐるのを見て、涙を禁じ得る事ができませんでした。茫然と感動。
これから私は、『クマのプーさん』ファンには、『ユリ熊嵐』を優れた続編として薦めようかと思ってゐます。ガウガウ。
肝硬変
ウメドンが肝硬変で入院した。しかも2ヶ月も!・・・にしても、肝硬変って・・・年齢的に早くないか?ウメドンって、まだ35歳だよ。まぁ、確かにウメドンは今年の始めから座骨神経痛に悩まされ、その後は膝に水が溜まって歩行困難になり、気分的にはずっと鬱気味でドヨ~ンとしてゐたけど・・・とても35歳の若者とは思へない。もしかして本当は53歳なのか?
などと騒いでゐたら、私の両親から衝撃的な事実を知らされた。なんと、私の父親の長兄は、35歳の時に肝硬変で亡くなってゐたのであーる!初めて知った・・・。
といふ事は35歳で肝硬変になるのは別に早過ぎない事になる。私の父の長兄は、お酒の呑み過ぎで肝硬変になったのだけれど、退院して来て迎へた正月。医者からは当然の事ながら厳禁されてゐたお酒を、正月なんだしちょっとくらゐなら・・・と口にしたがために、一週間後に亡くなったさうである。うーむ。
にしても、なんでウメドンは肝硬変なんかになったのであらうか?ウメドンはそんなにお酒は呑んでないはずだし・・・まぁ、過食で肥満気味ではあったけど(本人は「自分は小食!」と言ひ張ってゐたが)・・・と話してゐたら、私の父親が曰く「そら、ストレスやろ」。は?ストレス?・・・確かにストレスは身体に悪いだらうけど、なんでもかんでもストレスといふのは・・・。
しかし、私の父親が言ふには、自分は会社に居る間、ずぅっと肝臓値が悪かった。それで3度も入院したくらゐ。それが、会社を辞めた途端、一気に肝臓値が改善した。やはり一番悪いのはストレスだ・・・と。
まー、さうかも。
なんにせよ、ウメドンが退院して来たら、ウメドン用の(食事制限)メニューを考へねばならんだらうなぁ。
Comments
投稿者 うめどん : 2016年10月03日 19:22
ご心配かけてます。昨日ようやくICUから一般病棟にもどってきました。ちょっと峠は越えました。肝ガン一歩手前でした。酸素マスクも無しです。今は腹水が貯まって妊婦さんみたいになってます。おっ察しのとおりアルコールではないようです。メタボの人がよくなるらしく調べてもらえればまた元気になったら説明しますが欧米の人がよくなるようです?だいぶ落ち着いてきました。
まだまだ頑張って生きます。
死なないんでへんでー‼︎絶対復活しますから待っててね。
ちなみに棚障害は全然痛くなくりました?
投稿者 うめどん : 2016年10月03日 19:32
すみません。誤字脱字めちゃ多くて( ̄◇ ̄;)
?ばっかり訳わかりませんね。
ちょっと元気になって嬉しくってあわてて投稿しちゃいました。
棚障害治りましたよ!
投稿者 元店主 : 2016年10月04日 01:02
おー、ウメドン。連絡とれなかったから心配してたぞ。
まぁ、とりあへず安静が一番だらうから、ゆっくりしてくれ。
で、ゆっくりしつつも、早くオパールに戻って来て下さい。
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