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2015年02月11日(Wed)

2月3日〜2月9日 etc

さらば、愛の言葉よ

ゴダールの新作「さらば、愛の言葉よ」を、シネリーブル大阪にて鑑賞しました。ゴダール待望の新作、しかも3D!といふ事で大いに話題になってゐる作品ですが、個人的にもゴダールは2004年の「アワーミュージック」以来なので(前作「ソシアリズム」は見逃しました。ってか、やってたの気付かなかった・・・)、もの凄ーく楽しみにして臨んだのです。
で、やはりといふか、さすがといふか、期待は裏切られることなく、大興奮の鑑賞体験でしたー!

一言で言って、凶暴な映画です。通常の3D映画といへば、なんかこっちに飛んで来てびっくりー、とか、なんかジオラマみたいで自然がキレイだねー、とか、そんなヌル〜い印象で、個人的にはなんら興味は惹かれなかったのですが、このゴダール3Dはそんなもんぢゃない。視神経といふか、脳みそにガンガンと攻撃が仕掛けられ、眼がチカチカして、頭がクラクラします。もう何が映ってるのかよく分からない映像も多いですし、水は水にはとても見えない、でも水以外では決してない凶暴な美しさを湛へてゐますし、雪はスクリーンに穴を穿つがごとく明滅してゐます。人体や犬の顔は、極度に引き延ばされた形でスクリーンを飛び出して客席に飛び出してくるし・・・、そもそも通常の3D映画では、冒頭の何分かだけが3D感があって、後は慣れるのかあまり3D感はないものですが、ゴダール3Dは違ふ。いつまで経っても、凶暴さが収まらない。
私は最後の方ではこめかみ辺りがズキズキしてきて(メガネの具合かもしれませんが)、無意識に何度も3Dメガネを外しさうになりました。そして意識が何度か飛ぶ様になり(単に寝てたのか?)・・・ラストはフッと意識がブラックアウトした所で赤ん坊と犬の声が聞こえ、映画は終はってゐました・・・。
うーむ、過激すぎる。80歳を過ぎた爺さんが、こんな過激な映画を撮るなんて・・・素敵だ。ホドロフスキーといひ、イーストウッドといひ、このゴダールといひ・・・。
トモコも眉間の辺りが痛い様で、私とトモコは、映画が終はってもしばらくはその場で頭を抱へてジッとしてました。みると、周りはみんなシアター外に出てゐて、映画館の人が早く出て欲しさうに、こちらを見てゐる・・・。
みんな、身体が強いんですねー。

ユリイカ ゴダール2015

ゴダールの新作、めちゃめちゃ面白かったんだけども、一体どういふ映画だったのか、よく分からなかった。んで、パンフレットを買ひ、雑誌「ユリイカ」のゴダール特集号を買って、読んでみました。
・・・おお!さういふ映画だったのかー!
いや、この映画ね、二つのパートに分かれてゐて(厳密には三つ)、そっくりだけど微妙に違ふストーリーを、よく似てる二組の男女の役者さんが演じる・・・といふ映画だったのです!わ、わからんかった。・・・女優さんが二人居るのは分かってたけど、男優は同じ人だと思ってたし・・・。つまり、3Dが左右のそれぞれの眼でみる微妙に違ふ風景が合はさる事によって出来る様に、微妙に違ふ二つの話が微妙に違ふ二組の役者陣によって演じられる事によって出来る映画だったのです。なーるほどー・・・でも、これ、一回観ただけでは分からんぞ・・・。
となれば、様々な可能性に思ひ至ります。ラストに出て来るシェリー夫妻の映像、フランケンシュタインを書き上げる所なんだけど、あれが、二つの微妙に違ふお話(「自然」と「隠喩」)から出て来るのか、とか、そもそも二組の男女の話に共通して出て来る犬、あれが男女二人・二組から出て来るのか、とか。
あと、これは単に私が無知だったんですが、通常の3D映画って、様々な規制があるみたいなんですね。視差は5センチ以内、とか。やっぱ脳をいじってしまふ可能性があるんで、危険・・・といふ事で業界内で規制があって、だから通常の3D映画ってヌルいとのこと。むろん、ゴダールはそんな規制なんて無視だから、ここまで過激な映像が撮れた、と。なーる。私とトモコが頭が痛くなったのって、当然なんだ。でも、他の人たちは大丈夫だったんでせうか。みんな平気さうでしたが・・・。
それからこの「ユリイカ」には、主演女優のひとりゾエ・ブリュノーの撮影日誌(抄録)が載ってゐます。これがメッチャおもしろい。ゴダールって、凄いわー、意地悪さハンパないし。ってか、映画を作るって、大変なんですねー。

アンビエンス

映画を作るのは無論大変だが、アニメを作るのも大変です。私、DVDとか観ても基本特典映像は観ないのですが、先日アニメ「蟲師」のDVDを観た時に、なんとなく観てしまったのです。監督と音響監督の対談。まー、アニメにおいて監督って何してんの?とか、音響監督とか何してんの?って感じは前からあったので、そんな事もあって観てみたのです。と、これがまた凄ーく、興味深かった。
基本、音響監督さんの話なんですが、音響監督って・・・まぁ、BGMをいれたり、背景の効果音を入れたり、全体の音調整をやったり、とか、そんな事をしてゐるのだらうなぁ、とは思ってゐました。むろん、それはさうなんですが、他にも声優さんの演技指導までしてゐる。こんな声、これぐらゐのスピードと音量で喋って下さい、とか。そしてそのアフレコに、10時間とかかけてるの!そんなにやってるとは。30分の番組だよ。で、それだけでは終はらない。アンビエンス、といふ作業がある。これは、日本家屋の何畳ぐらゐの部屋で喋ったらこれぐらゐの響きになる、とか、山の中ならこんな感じ、カメラから外れたらこんな響き、河の側ならこんな感じ・・・と、全てのセリフの響きなんかを調整すること(マスタリングに近いのかな?)。これによって“空気感”を出す、と。なるほど!確かにこの「蟲師」は、空気感がハンパなく冴えてゐます。山の中の音とか、ちゃんと録りに行って、何日も彷徨っていい音を探したりするらしい。音楽も、ガムランみたいな音がするし、一種独特。様々な音楽を探査した感がある。うーむ。当たり前かもしれないけれど、これぐらゐの事をして、あそこまでのクオリティがある、と。
アニメといへば、絵が大変だらう、とは漠然と思ってゐたのですが、音だって大変なのです。これは考へてみれば当たり前でした。だって映像作品である限り、ソニマージュな訳だから(むろん、ゴダールと「蟲師」は対極にありますが)。

今週の取材

久しぶりにテレビの取材が来たんだけれど・・・、関テレの「よ〜いドン!」といふ番組。むろん、私はテレビとか観ないので全く知らないのですが、どうも主婦向けの人気番組らしい(常連さんに訊いたら、ほとんどの人は知ってました!)。その番組中に、「本日のオススメ3」とかいふコーナーがあって、そこで三つの店を紹介するらしく、そこの取材。まぁ、露出は一分ぐらゐらしいけど一時間ぐらゐかけて撮影してましたよ。これもプロの技ですか。大変だなー。放送日は2月20日金曜日の予定。興味のある方はどーぞ!

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