3月18日〜3月25日 [etc]
豊川稲荷
オパールの裏手には興雲庵といふお寺がありまして、我々は一応ここをオパールの鎮守と考へてゐます。このお寺は実は豊川稲荷さんで、普通お稲荷さんといへば神社ぢゃないの?となると思ふのですが、実は仏教系のお稲荷さんもありまして、豊川稲荷はその代表的なものです。
要するに荼吉尼天を祀ってるお寺なんだけど、荼吉尼天は白狐に乗ってるから、それで日本のお稲荷さん信仰とゴッチャになったみたいなんだよね。しかしそもそも荼吉尼天といへば、日本における邪法・外法の横綱的存在。日本における魔法修行の本道はやはり飯綱の法・荼吉尼の法で、つまりは少々怪しいが、魔力は絶大である、と。もしかして、我々が「魔法少女まどか★マギカ」にはまってしまったのは、豊川稲荷を鎮守としてお参りしてゐるからかもしれません(って、そんな訳ないか)。
その豊川稲荷の本山が愛知県豊川市にある、といふ事で、そこに行って参りました。参籠も可能・・・と、つまりは一泊して早朝から祈祷して貰ふ、朝・晩と薬膳二食付きでひとり八千円也、といふコースがあったので、それで行ってきたのです。
シーズンオフらしく、参籠するのは私とトモコの二人のみ。夕方の17時といふ恐ろしい時間に夕飯を食べ、後は寝るのみ・・・って、寝られる訳ない!確かに明日は朝の5時に起床なので早く寝るべきなのですが、普段は我々、朝の5時に就寝したりしてるからな・・・。布団の上に寝っ転がって、泉鏡花の「親子そば三人客」なんかを読んでゐると、あー蕎麦とか食べたい、お酒があれば最高なんだが・・・と煩悩が沸いてきます。これはいかん、と、トモコとともに夜の境内を経巡る事にしました。
深夜の豊川稲荷境内を廻る。これは参籠した人の特権です。豊川稲荷はそこまで大きな所ではないんですが、それでもひとつの小宇宙を成してゐます。
大鳥居、本堂、三重塔、六角堂、山門、奥の院・・・と色々とありまして、それでもやはり注目すべきは霊狐塚。一際奥まった場所にあるのですが、ここにはたくさんの白狐の像が林立してゐます。真夜中にそこに立つと、なにかもの凄い冷気が立ち籠めてきます・・・。
と、そこになにやら怪しい影。お坊さんかと思ったのですが、どうも参詣者らしい。しかし、我々以外に参籠者は居ないはず。こんな夜中に境内に入られる訳もない。怪しい・・・。我々は柱の影に身を隠して様子を窺ひました。すると、その影はひらりと賽銭箱の上に飛び乗りました。これは!賽銭泥棒か!!と、私は無我夢中で飛び出し、その影に飛びかかり、腕をねじりあげて、押さへ込んだ!と、思ったら、私はバランスを失ってその場に転倒、影は「お前さんは未だ少いや」トタンに衝と寄る、背後へ飛んで、下富坂の暗の底へ、淵に隠れるように下りた。行方知れず、上野の鐘。
「ちょっと、もう行くわよ」・・・は!ウォルター・ミティの様に、妄想に捕はれてゐた・・・。
熱田神宮
朝5時に起床、6時過ぎから御祈祷があって、そのあと朝食の精進料理、で8時にはもうそこを出てゐました。さすがに今から家に帰るのも早過ぎるので、せっかくだから熱田神宮にでも行かう、といふ事になりました。
わたし、前から熱田神宮には行かねばならない、と思ってゐたのです。なぜなら、熱田神宮には三種の神器のひとつ、草薙の剣があるからです。
一応、伊勢神宮(鏡)と皇居(勾玉)には行った事がありましたので、これで三種の神器コンプだな、と。
行ってみると、熱田神宮は素晴らしい所でした。楠の大樹が何本もあって、爽やかな神気に満ちてゐます。本殿が伊勢神宮と同じ神明造りといふのもあってか、伊勢神宮と似た雰囲気。平明で清潔で簡素。実は寝不足で、グラグラしながら行ったのですが、眠気も吹っ飛び、心身をザッと浄化された気持ちになりました。
その後、夕方にウエナカさんと合流し、バーでワインをがぶ飲みして帰りました。
LIFE!
MOVIXでベン・スティラーの最新監督・主演作「LIFE!」を観ました。いやー、素晴らしい!ベン・スティラー、ここまで洗練された洒落た映画を撮る事ができるんや、と感心しました。これは前監督・主演作である「トロピック・サンダー」や「ズーランダー」の様なアホアホ映画ではありません(どちらも最高の映画だけどね)。むろん、基本はコメディーですので、随所に笑へる所はあるし、一貫して楽しい映画なのですが、これはむしろひとりの男が自分の人生を取り戻す話。その様を、あまり茶化すこともなく、いっそストレートに描き切って、感動を呼び起こす作品なのです。
原作の主人公であるウォルター・ミティは、無能故に妄想に逃避する男。その様が面白可笑しく描かれるのですが、この映画のウォルターはちょっと違ひます。彼は元来有能なんだけど、若い時に父親を亡くしたため、自分の全ての夢を諦めて、家族を喰はせるためにガムシャラに働いてきた男です。故に、つい妄想にうつつを抜かしてしまふ。その彼が、ついに、自分の本当の人生を取り戻す!
音楽のセンスもいい。映像も美しい。是非ともみんなに観てほしい作品です。
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