アンノウン/孫文/バックページ [映画]
なんか最近、日記が映画の話ばかりになってきて・・・イマイチ書いてゐて面白くないのですが。ま、しかし、今年は劇場で観た映画については全て一応日記に書かう、と決めたので、とりあへず書きますか。
最近観た映画、3本、まとめていきます。
まづ、ホラー映画を主に撮ってゐる、故に私は全く知らない、ジャウマ・コレット=セラ監督によるベルリンを舞台にした映画「アンノウン」。ちなみに、これはホラーではありません。自分の記憶が周囲と食ひ違ふ、世の中一体どうしてしまったんだ!自分は誰なんだ!・・・といふ恐怖は描いてをりますが、ヒッチコックの「バルカン超特急」パターンの映画です。
かういった映画では、その種明かしが重要になってくるのですが,この映画、それはよく出来てゐます。ネタばれしたら台無しなので書きませんが、なるほど!と感心する出来。決して強引でもトンデモでもありません。
が、その後が・・・。つまり、なんといふか、その驚愕の真実が明かされた後の、後始末が、全然ついてゐない!見事に謎が明かされました、良かったね、チャンチャン。ってな感じで、いや正確にいふとその前後にはリーアム・ニーソンによるゴリゴリのアクションシーンが連続して、なんか最後には違ふ映画になってしまった、といふ印象。色々と面白い映画なんですが、ラストで「おいおい、このまま終はる気か!」と客席でズッコケてしまふ作品でした。う〜ん、惜しい。
次はテディ・チャン監督による「孫文の義士団」。時は辛亥革命前夜。亡命中の孫文が、清朝打倒の作戦の指示を与へるために、仲間たちの密かに集結してゐる香港へ、1時間だけやってきます。その情報をキャッチした清朝側は、500人からなる暗殺団を、孫文殺害のために香港に送り込みます。それを、たった8人の義士たちが守りぬく・・・といふお話。
いやー、あまりに典型的な話で、いかにも燃えさうでせう?これが、また、実際、凄ーく!燃えるんですよ!!!
なんちゅーか、メチャメチャ面白い。今や“宇宙最強”といふ異名をとってゐるらしいドニー・イェンを始め、総合格闘家のカン・リー、「レッド・クリフ」の趙雲役のフー・ジュン、バスケット選手のメンケ・バータル、ニコラス・ツェー、レオン・ライらが繰り広げるアクションが素晴らしい。特にドニー・イェンはやっぱ凄いわなぁ。
お話も、徹底的にアクションに奉仕した“反動的”なもので。要するに、善悪が揺るぎなく決まってゐる。そしてその善のために、みんなが自分の命を投げ出して闘ふ、といふ、中学生男子の心を揺さぶるもの。単純明快。やっぱねー、なにか大きな素晴らしいもののために、自分の命を投げ出して、血塗れになって敵と闘ふ、といふのは、男の子の夢だらう。カミカゼ特攻隊から痴人の愛までね。私も、「反動的だなぁ・・・」と呟きながら、涙でスクリーンが曇って見えませんでした。気持ちよすぎる。麻薬の様な映画。
むろん、陶酔感と罪悪感を抱きながら、映画館を出ましたけれど。
最後は山下敦弘監督の「マイ・バック・ページ」。70年代に実際にあった“赤衛軍事件”。それに関はった(といふかほぼ当事者の)川本三郎の著書「マイ・バック・ページ」の映画化です。
これがまた微妙な映画で・・・。つまらない訳でもないけれど、面白い訳でもない。といふか、面白くなりさうなんだけれど、常に寸止めされてゐる、とでもいひませうか。
はっきり言って、川本三郎役の妻夫木くん、ただのアホにしかみえないんだよねー。しかし、映画ではその様に描いてゐない。ひたすら善意の人、優しい人、みたいに描かれてゐて、でもよく観ればただのアホにしか見えなくて、そこが凄く気持ち悪い。プロデューサーあたりから「川本三郎は絶対に悪く描くな!」と厳命されてたのか?とか、勘繰りたくなるくらゐ。
妻夫木くん、この映画でもラストは泣き崩れるんだけれど、“泣き崩れる妻夫木くん”といへば、私なんかは傑作「ジョゼ虎」を思ひ出す訳ですが、あの映画では自らの情けなさ故に泣き崩れる様が感動的だったのが、今回の映画では自己憐憫故に泣き崩れる訳で、少々気持ち悪い。ちょいシラケます。
が、ねぇ、この映画の作り手の人たちは、そこらへんも実はよく分かってるらしく、あまり気持ち悪くならない様に周到に撮ってゐる様に思へます。なんといふか、適度に醒めた距離を全ての登場人物に対してとってゐる、といった感じ。でも主役は妻夫木くん=川本三郎だから、そこだけ微妙に距離感が甘い。それが問題。なんで川本三郎を主役にしたのかなぁ。狂言廻しにした方が良かったんではないでせうか。
などとブツブツ言ひつつ。今年は結構、映画を観てゐます。
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