ワイン & スピリッツ [音楽]
ラサーン・パターソンの新作『ワイン & スピリッツ』を聴きました。前作から結構すぐに出た作品で、お、ノッテルのかな? と思つて、軽い気持ちでCDプレイヤーの再生ボタンを押したら、わ!!! と、軽〜くブッ飛ばされました。きました。これは傑作です。
Pヴァイン・レコード (2007/10/19)
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ラサーン・パターソンといへば、現在の主流R&Bからは外れた所に居る人です。つまりそれだけ独自な世界を持つてゐる、といふ事なのですが、それ故にか、商業的には恵まれず、なんだかズルズルと後退していく様な雰囲気もあつて、些か不安を感じさせる人でもあります。前作も確かに素晴らしい作品だつたのですが、どうもオールドマナーに後退してゐるといふか、趣味の世界に走り過ぎてゐるといふか、さういふもどかしさがあつたのも事実。やはり私は前々作の『ラブ・イン・ステレオ』の様な、最新R&Bにも切り結びつつ、独自の世界を展開してゐる作品が好きです。いまいちどあの奇蹟を! と、たまに頭の片隅で呟きながらも、様々な音楽の洪水に流され、日々の生活にすり減らされ、軽い退廃と倦怠と諦めの中でワインやスピリッツを啜つてニヒルに笑つてゐた私だつたのですが、やはり、それは突然やつてくるのですねー。
MCAビクター (2000/02/02)
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ネオソウル(国内ではニュークラシックソウル扱い)
この突き抜けてクールでメロウなファンクネス。胸を焦がす様な蒼いソウルネス。似た様な「よく出来た」音楽作品が大量生産・大量消費される中で、それらを突き破り一際独自な世界を開いて輝いてをります。素晴らしい。晴れることはないのではないか? と思はれる雲間を縫つて、突如、静かに差し込む柔らかい一条の光。それが私がこのアルバムに持つ感触です。
先日、ちやうど夜明けの頃に建仁寺さんを通り抜けてゐたら、朝焼けした空の彼方からラサーン・パターソンの歌声が聴こえてきました。私とトモコはしばし立ち止まり、その音楽に耳を傾けました。早朝の京都の寺院に響き渡るラサーン・パターソンの声。似合ひ過ぎる…後で尋ねてみたら、トモコにはボビー・ハッチャーソンの『DIALOGUE』が聴こえてゐたさうです。さ、さうだつたのか、渋すぎ!
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