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2007年06月28日(Thu)

船乗り込み 歌舞伎

 船乗り込み、に行つてまいりました。

 さて、“船乗り込み”とは何か? これは毎夏松竹座で歌舞伎が行はれる前に、それに出演する役者さんたちが船に乗り、道頓堀などを廻つて自分たちの公演の前宣伝をする、といふものです。毎年、夏になれば行はれてゐる様で、大阪の夏の風物詩ださうです。…ッて、知らんかつたー! ううむ、京阪神に37年間も住んでゐて、初めて知りました。情けない。ババさんやベッチからも、「えー! 溝口の『残菊物語』を観てないんですかー!」と呆れられてしまひました。すいません。観てゐません! 二代目菊之助を描いた溝口健二の傑作映画。この中に、船乗り込みのシーンがあるさうです。トホホ、自らの無知・無教養が身にしみるなァ。……いやいや! ここはひとつ、ポジティブに考へを転換。歌舞伎のファンになつて、世界が広がつて幸せだなーッと!!

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 で、この“船乗り込み”。今年はなんと木曜日にあたつてゐて、つまりはオパールの定休日なので、これは呼ばれてるなー、と行く事にしたのですが、ここにひとつ、モアインフォメーションがありました。抽選で10組20名さまは船乗り込みの船に御招待! とあつたのです。

 よーし、これは当てるぞ! と、勇み立つのはいつもトモコ。私は、そんなの当る訳ないよ、と常にクールなのですが、トモコに「絶対当たるッて!」と説得され、さうかなー? ま、往復はがきを買つて出すくらゐ、やつてもいいけど、とウジウジしてゐたといふ次第。そんなこんなである日のオパールの帰り道、またしてもトモコの説得を受けながら私がウジウジと下を向くと、そこに100円玉が落ちてゐました。お、道路に100円が、とそれを拾ふと、トモコがそれを受け取つて「これで行けるわ!」と言ひながら、なぜかすぐそばにあつた中京郵便局の深夜窓口でそのまま往復はがきを購入。それで応募したのでした。

 で、もちろん、当りましたよ!

 いやー、当つたのはいいのですが、その当選葉書に“出来れば浴衣でお越し下さい”とあつたので、また一悶着。私は何年も着てゐなかつた浴衣を引張りだし、あれがない、これが足りない、と大騒ぎしながら当日を迎へたのでした。

 当日は15時半から大阪は中之島公園で役者さんたちの口上 & 挨拶。我々は必ず15時までに来い、といふ通達を受け取つてゐたので、必死のパッチで15時ギリギリに到着。するとそのまま当選者の人たちが集められ、一艘の船に乗せられて、川中へと送り出されてしまひました。オイオイ。

 曇りとはいへ、紫外線はギラギラときつく、気温も高い。狭い船内で「う〜む」などと唸つてゐると、岸辺では役者さんたちが登場した様で、歓声があがつてゐます。あのー、何にも見えないんですけど、遠過ぎて。しばらくして気がついたのですが、すでに口上 & 挨拶も行はれてゐる様です。あのー、全く聞こえないんですけど。

 我々の船に乗つてゐる“幸運な人々”は、みんな首を長〜くして、岸の方に熱い視線を送つてゐます。そんな事をしても何も見えず、聞こえないのですが、私も同様にしてをりました。

 三日ばかり過ぎたかと思はれる頃、やつと役者さんたちが船に乗り込み始めました! 「片岡仁左衛門」「市川海老蔵」などと役者名の書いた幟が船に立てられ、お囃子が川面に響きます。わー、華やかになつてきた、たうたう船で出発だ! と、浮かれてをりますと、役者さんたちの船はそのままサッサと先へ行つてしまひました。それから、徐に、我々の船の出発です。う〜む、我々の存在は何なのでせうか。

 ま、とはいへ、船で河を走るのはとても楽しかつたですよ。岸辺に居る人たちも、我々に向かつて手を振ります。それだけではなく、紙吹雪は舞ふし、飴玉なんかも飛んできます。わーい、わーい、と、川面から見る大阪の街はとても魅力的なのでした。

 道頓堀のヒッカケ橋の所が終点。ここでまた口上。そしてみんな上陸して松竹座まで行き、そこでさらに口上 & 挨拶。一応ここでは、我々も人だかりの後ろから何とか役者さんたちを見る事ができました。やー、良かつた。

 とりあへず、いへること。我々が船乗り込みに参加したからには、七月松竹大歌舞伎は必ず成功するでせう。いや、マジで。間違ひない。

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