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2006年08月29日(Tue)

どっからでもかかって来い! 読書・文学, 可能涼介さん

 可能涼介来店。「いやー、この歳になると、ますます時間がない。だから無理にでも理想の生き方をしなければ、といふ気になるよなぁ」と言ふ。

 ほう、理想の生き方ねェ。で、どんなのさ、それ。

「前から言つてるけど、東堂太郎的な生き方だよ」

 あ、それ、私も賛成! 要するに、世の中の不条理や不公平、まァ、端的に不正な事柄に対して、泣き寝入りや無視を決め込まず敢然と立ち向かふ、といふ事だらう。あくまで順法闘争で。

「さうさう。少々不条理な事があつても、ま、いいか、面倒くさいし、とかなつてしまふんだよな、オレも含めて大多数の日本人は。やつぱ、さぁ、この歳になると、さういつた態度がますます世の中を悪くしてる様な気がするんだよ。悪人がのさばる、といふか」

 さうだなァ。でも…なかなか難しいよ、さういふのは。まず、こちらがルールをかなり知つてないといけない。さうしないと、簡単に悪人に丸め込まれてしまふから。

「まあ、な。うーん、そんな風に世の中と闘つてる人ッて、居るのかなぁ」

 居るよ! えーと、日垣隆。あ! さうだ。先日『どっからでもかかって来い! 売文生活日記』といふ日垣隆の新著が出たんだけど、これが正に“順法闘争日記”になつてるんだよ。銀行や郵便局、旅行代理店にタクシー、不動産屋に新聞…と、様々なものと闘つてゐる。

「それはいい事を聞いた。早速読んでみよう」

 でも…、たとへばさ、銀行とか、こちらが何か変だと思つて文句を言つても、「上から通達が出てる」とか平気でウソを言ふんだよ。で、日垣隆はそんな事はあり得ないと分かつてるから「ぢや、その通達を見せろ」と詰め寄つて、相手を負かしてしまふ訳だけど…。我々では、「あ、そんな通達が出てるのかな」とか思つて、引つ込んでしまふよね。

「だからさァ、そこで引つ込まずに、『ではそれはどんな通達なのか教へて下さい』ッて言つて、自分で調べればいいんだよ。もし自分が間違つてたら、『勘違ひでした、すいませんでした』ッて、謝ればいいんだし。それでひとつ賢くなる訳だから、いいぢやん」

 まあ、ねぇ…。そんな事、出来る?

「出来るかどうかぢやなくて、やるんだよ!」

 さ、さうか。さうだな。ううーん、さうだな、全く。いやー、なんとも。

 世の中は、神聖喜劇だねぇ…。

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