吉村昭 [読書・文学, 可能涼介さん]
先日、作家の吉村昭氏が逝去されたが、実はそれが自裁であつた、といふニュースを読んで驚いた。吉村氏は癌だつたのだが、かねてからの宣言通り延命治療を拒否、自ら身体に差し込まれて居る管類を引き抜き、周りに居た家族の人に「ぢや、死ぬよ」と一言残して、数時間後に眠る様に息を引き取つた、といふ。ううむ、偉い! と感服しました。
吉村昭氏は、非常に緻密に丁寧に資料に当り、堅牢な作品を書くことで有名な人であつた。若い頃の私は、そんな吉村昭作品が少々退屈に思へ、些か敬遠気味であつたのだが、ある程度歳をとると、ううむ、と唸らされる事が多くなつた。高山彦九郎を主人公にした作品を書くなど、その視点の鋭さにも共感するところ多々。また吉村昭氏は自伝的なエッセイも非常に評価が高く、特に『私の文学漂流』は名著だから是非読め! と、可能涼介に前から薦められてゐたのだけれど、まだ読んでない。今回のことで氏の人間性に大いに感銘を受けたことだし、これを機会に読んでみようと思ひました。
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