かさぶらんか [ヤマネくん]
ヤマネくん来店。カウンター席に座つて赤ワインを飲みながら、カウンター内のトモコと談笑してゐた。と、そこにヲジサン二人組が来店。店に入つてくるなり、「カサブランカどこ? カサブランカどこ?」と叫んだ。ヤマネくんは自らもお客さんの立場ながらも、一瞬オパール側に自分の立場を移し、一体どう対処したものだらうかと頭をフル回転させたのだが、間髪を入れずにトモコが、「あ、こちらになります」と、傘立てを指し示し、ヲジサンたちが、「お、カサブランカや、カサブランカ」と言ひながらそこに傘を収め、無事に席に着いたのを見て、頭が真ッ白になつてしまつたさうだ。
「トモコさん凄いですねー! ボクにはチットモ分かりませんでした!」
「まあね、長い間かういふ商売をしてゐると、大体勘で分かるやうになるものよ」
「例へ分かつたとしても、あんなにさり気なく対応する自信がないなー。笑つてしまひさうだ。……でも、なんで“カサブランカ”なんでせうねー。傘をブラーンと掛けるからかな?」
「うーん、確かにオパールの傘立てには掛ける所がついてゐるけれど、大抵の傘立てにはついてゐないぢやない。だから、多分、私が考へるに、あれは“傘”と“アンブレラ”を掛けてゐるのよ!」
「ええー! さうかなー。…あ! さうだ! “カサブランカ”は“カーサ”“ブランカ”で“白い家”、つまり“ホワイトハウス”の事ぢやないですか。だからあれはきつとブッシュ大統領の事を言つてゐるんですよ。来週にはブッシュと小泉が京都にやつて来るんで、その事を言つてゐるんぢやないですか。と、いふ事は…」
「危険ね。今週あたりからすでに、警戒態勢が強化されてゐるわよ。地下鉄の駅にも警察がわんさかゐたし。」
「あの人たちは地下活動をやつてゐる人たちなんですかねー。で、ここを何かの本部と間違へたとか」
「でもここ、地上6階よ」
「ははは! さうでした」
本日は雨でした。
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