夏休み文楽/エルリ/アポカリプス [etc]
8月9日~8月21日
夏休み文楽
夏休み文楽特別講演@国立文楽劇場の第2部に行って参りました。
第2部は名作劇場といふ事で『薫樹累物語(メイボクカサネモノガタリ)』と『伊勢音頭恋寝刃(イセオンドコイノネタバ)』。『伊勢音頭』の方は文楽でも歌舞伎でも何度か観た事がありますが、『薫樹累物語』の方は初めて。これがまた、なかなか面白い芝居でした。
江戸時代に奥州仙台伊達藩にて「伊達騒動」といふ御家騒動があって、それに題材を摂った「先代萩」といふ芝居のシリーズがありますが、どうやらこの『薫樹累物語』も同じく「伊達騒動」を元にした芝居みたい。それに、有名な怪談である“累伝説”を採りいれてゐる。設定も、「先代萩」とは微妙に違ひます。
絶世の美女である遊女・高尾。彼女は、伊達騒動に巻き込まれて殺されてしまひます。この高尾の妹が累。この累ちゃんが可愛い!むろん、高尾の妹ですから美人な訳ですが、獰猛なまでの無邪気さを持ってゐて、いはゆる無意識過剰気味な女の子です。で、彼女が、姉の高尾を(忠義のために)殺した絹川谷蔵に一目惚れ。いくらなんでも自分が殺した人の妹と・・・と尻込む谷蔵に猛アタック!可愛い娘を殺した奴、絶対に許せん・・・と怒る父親にも自爆アタックをかけて、遂には結婚にこぎ着けます。大喜びの累。が、そこで姉の高尾の亡霊が現れ、彼女の祟りによって累は二目と見られない醜女となってしまふのです。
ところが、根は優しい谷蔵。そんな醜くなった彼女を快く嫁に迎へ、しかも彼女自身に、自分が醜くなった事を悟らせない様にします。つまり、鏡を全て隠し、彼女自身にも絶対に鏡の類は見ない様に申し付けたのです。元来、無意識過剰気味な累は、何の疑問も抱かずそれに従ひ、二人で仲良く田舎で暮らしてゐました。
ところが、谷蔵の主人の恋人・歌形姫が攫はれます。で、その身代金の捻出に苦しんでゐる亭主・谷蔵をみて、事情はよく分からないながら、とにかく亭主がお金の算段で苦しんでゐる・・・なんとか助けてあげたい。さうだ、私が身を売れば・・・こんなに可愛い私ですから、さぞ高値で売れて、それぐらゐのお金は何とかなるでせう・・・。と、決死の覚悟を固める累ちゃん。そして女郎屋と交渉するのですが・・・ここ、芝居の白眉です。なんとも残酷であるし、ある意味滑稽でもあるし、なにより累ちゃんが・・・可愛い。いや、ほんと自分の可愛さに一片の疑問も抱いてない累ちゃんが困惑し、怒る様は可愛らしいですよ。且つ、胸が痛む。そして、最後に鏡を見せつけられて、累は絶望します。そして、今までの自分を振り返って、恥ずかしさに身悶へする・・・。
さらに、歌形姫を亭主・谷蔵の愛人だと勘違ひして嫉妬に狂ひ、悪鬼の形相になって荒れ狂ふ様は壮絶。遂には愛する谷蔵の手によって殺されてしまふのは・・・哀れです。
ラストは呂勢太夫&清治さんの名コンビによる“奥”で、満足。堪能いたしました。
ところで、『伊勢音頭』の方は、大殺戮シーンで首が飛ばなかったんだけど・・・。確か、前に観た時は、人形の首が切られてポーンと飛ぶ所があったと思ふんだけど(何個かの首が紐で結びつけられてゐた様な・・・)、今回はなかった。手や足は飛んだけど。なんでだろ。なんか事情があったんでせうか。
エルリ
『進撃の巨人』のアニメ版を見終はったものの、続きが気になる!なにせ思ひっきり途中で終はってますから。原作マンガでいふと、大体8巻ぐらゐまでがアニメ化された部分。原作マンガは現在も連載中ですが、既に19巻まで出てゐる。うーん、これは、と、躊躇なく一挙に19巻まで購入したのが先月の話。今月は20巻が発売されたので、それを購入しました。
にしても・・・前々から聞かされてゐたとはいへ、確かに、原作マンガは絵が下手すぎる!いくらデビュー作とはいへこれは・・・。むろん、デビュー時には下手な漫画家は昔から居ました。でも、大抵は連載してゐるうちに上手くなってくるし、アシスタントをつければ、格段に上手くなる。それが、なぜかこのマンガに関しては、ちっとも上手くならないのです。すでに20巻まで来てるのに、主役級のミカサの顔が安定してないって、どーゆーことよ。
いや、お話自体はとても面白いし、キャラも立ってる。世界観も秀逸、と、いい作品なんですよ。だから・・・、これアニメ化して本当に良かった。アニメは当然の事ながら絵は上手いし、表現方法も抜群。なにより声優の人々の力で、凄まじく面白いものに仕上がってゐます。この作品に関しては、原作マンガは単なる青写真で、アニメ版こそが完成した作品、って感じですねぇ。まぁ、外国では、アメコミにしろバンドデシネにしろ、話を作る人と絵を描く人は別なんだから、それはそれでいいと思ひますが。
ところで、今のマンガ商売って凄いですね。20巻を買ったら、帯に「この続きが8月9日発売の『別冊マガジン 9月号』で読める!」とか書いてあるんです。つまり、単行本から雑誌連載へとスムーズに移行できる様になってゐる訳で、むろん買ひましたよ、『別冊マガジン 9月号』。なんと、この号には83話と84話の二話が掲載されてますしね。それと、なにより・・・83話と84話は、全世界の“エルリの民”が絶叫!咆哮!錯乱!自失!する“エルリ回”となってゐる・・・との噂だったからです。
(ちなみに、“エルリの民”とは、エルヴィン団長とリヴァイ兵長の関係に愛と真理をみる、“腐った”女子の方々のことです)
うむ。確かにこれは・・・!!!おおお・・・・・・い、いや、その事に関しては言はずにおきませう。自らの眼で、確かめるのがいい。これ、アニメでやられたら号泣もんやな・・・。
ところで、不思議な事があるのです。この83話。実は数週間前から外国のエルリの民の間では大騒ぎになってゐたのです。すでに絶叫や咆哮が響き渡ってゐて・・・でも、まだ雑誌も発売されてないし、なにかの間違ひか?とも思ってゐたのですが、実際に読んでみたら・・・うむ、これ流出してたんでせうか?明らかに同じ絵とかコマがすでにネット上にあがってゐたけれど。
それとも、外国は日本より発売が早いのでせうか?エルリの民は時空を超える、とか?・・・こんなこと、その界隈では常識なのかもしれませんが、私の様に“俄”の人間には仕組みがよく分かりません。誰か教へてくれないかなぁ。
アポカリプス
映画『X-メン アポカリプス』をMOVIX京都にて鑑賞。実質リブートした『ファーストジェネレーション』からの3部作の最終作、といふ事もあり、前2作で回収・再構築・整地したストーリの上で、伸び伸びとミュータントバトルが行はれる、といった趣向。故に、ストーリーは単純そのもので、古代に“神”と呼ばれた超強力なミュータントが現代に甦り、世界の支配を目論むのを、X-メンたちが闘って倒す・・・と。(正確にはまだX-メンではないですけれどね。後のX-メンとなるミュータントたち、です)
単純に、大口あけて、頭をからっぽにして楽しむ事ができる。夏だからね、かういった映画もいいもんです。あー、おもろかった。
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