映画館/その他 [etc]
2月16日~2月24日
映画館
先日、アニメ『劇場版 selector destructed WIXOSS』といふ作品をMOVIX京都で観たんだけれど、それを観てゐて“映画館について”思ふ所があったので、ちょっと書いてみます。
この作品は、テレビシリーズ全24話に、新たなエピソードを書き足したものを、約90分にまとめたものです。しかし、テレビシリーズ全24話だけでも約10時間あるんだよ。それに新たなエピソードを足して、90分にするって・・・どんだけアクロバティックなんだ!と思ってゐたのですが、案の定、アクロバティックすぎて、多分初見の人にはさっぱり訳の分からないものに仕上がってゐました。
まぁ、私は以前もアニメの劇場版では同じ様な目に遭ってゐまして、いや今回の場合はちゃんとテレビ版を観た上での鑑賞でしたので私個人は問題なく作品は理解できたのですけれど、それでもやはり、こんなのは作品として自立してない!こんなものを映画館で一般の客に提供するのはどうなのか!と、以前なら憤ってゐたのもなんです。が・・・実は今回、ここまで見事に初見の人を無視した作りのものを見せられると、色々と考へ直してしまったのでした。
これは私が考へてゐる様な、いはゆる“映画”ではない。これはむしろ・・・“祭り”である。アニメの劇場版は、テレビシリーズのファンが楽しむ“祭り”なんだ、と。
実際、アニメの劇場版の祭り度は凄く高いです。まづ、週替はりの“来場者特典”がある。作品によっては、その週の中でも違ふ種類の特典が配布され、ランダムが基本(つまり、何が貰へるか分からない)。それ以前に、前売券の段階で特典があるし、作品によってはこれが何種類もある。
まぁ、かういった“来場者特典”は、実写映画の方でもマネをしてゐますが、比較にはならない。貰っても、すぐに捨ててしまひたくなる様なしょーもない特典を配ってゐる実写映画に較べ、アニメの場合はみんなが血相を変へていきり立つ様なブツが配られます。勢ひ、すぐにプレミアがつき、ネット上やリアルな世界でも取引が盛んに行はれる様になります。
で、こんな状態だから、ファンは何度も映画館に通ひ詰めます。そしてその度ごとに様々な発見をし、それをネット上にあげてみなで楽しむのです。
それだけではない。今やアニメに於いては“聖地巡礼”は当たり前の行為となってゐますが(アニメで描かれた土地を訪れること)、劇場版上映中はその行為も多発し、その様子がネットにアップされ、みんなでそれを共有したりします。さらに、上映に際して発売されたグッズの蒐集。それをネットでアップ。作品のシーンを模したコスプレ写真の撮影、それをネットにアップ。と、とにかくネットを使っての祭りが繰り広げられるのです。
上映形態でも色々ある。
昨年は、「劇場版 ガールズ&パンツァー」の“爆音上映”が、「マッドマックス」より凄い!と話題になりましたが(映画は未だに上映中)、今年は、てか今は、なんと言っても「キンプリ」。「KING OF PRISM」といふアニメの“応援上映”といふのが話題になってゐるのです。
これは“コスプレOK! 声援OK! アフレコOK!”の上映形態らしく、人々はコスプレをしてペンライトと光る薔薇を持って映画館に行き、作品内でライブが始まれば(アイドルグループの映画らしい)、それらを振り、踊り、歌ひ、絶叫して楽しみます。また、好みのキャラが出る度に「***!」と声援を送り、さらに、例へば「苦手な食べ物はなに?」といふ登場人物のセリフには「ピーマン!」「たまねぎ!!」などと自分の苦手なものを叫ぶなど、勝手に登場人物たちと会話をしてしまふ・・・といった感じなのださうです。まぁ、「ロッキーホラーショー」みたいな感じなんでせうが、さういったものが現在進行形で産み出され、もの凄い活況を呈してゐる、といふのが素晴らしい。アニメファンにとって、『劇場版』は祭りのアイテム、映画館は祭りの場、なのであらう。
昔なら、さういった映画館の使ひ方に違和感を持ってゐたのです。そんなもん、他所でやってくれ。そんなもんでスクリーンを使はれると、私の観たい様な映画が上映できないやん、映画館ではちゃんとした“映画”をやってほしい、と。
しかし・・・今や、そんな事を思ふのはすでにズレてゐるのではないか。そもそも実写映画の方も、やれアイマックスだ4Dだと、お祭り度を高めてゐる。その内容も、CGをバンバン使ったり、お金を莫大にかけた大作アクション娯楽大作!てなものばっかり。で、いはゆる“映画らしい映画”はといへば・・・これがなんと!けっこうテレビドラマの方に流れてゐるらしいんですねー。
今やアメリカのテレビドラマって、予算も人材も映画並み。監督も俳優も映画の人がやってて、もう映画と同じクオリティらしい。なんでこんな事になったかといふと、映画館で上映する映画にはとにかく売り上げが求められる様になり、予算も膨れ上がったので、そこまでの予算は要らないけれど売り上げもそこそこ、といふ渋い・良質の映画を作ってゐた制作者たちが、みなテレビドラマの方に流れていったから、らしい。あとは、メディアの多様化のせゐ、かな。うーむ。
まぁ、これはハリウッド映画の話だけど、大枠の流れはこんな感じなのでせう。
私の考へる“映画らしい映画”とは、スペクタクル偏重に陥らず、映像の語りで快楽を与へてくれる映画、のことです。まぁ、小津とかゴダールとか、イーストウッドとかデビッド・リンチとかウェス・アンダーソンとか。かういった映画こそ“映画らしい映画”であり、かういった映画こそが映画館で上映されるコンテンツの主流であるべきだ、といふ考へは、もう通用しなくなってゐるのでせう。私自身も、あまり説得力を感じなくなってゐるし。今やメディアは多様であり、映像作品は様々な場所で様々な形態で観られてゐる。スマホで映画が観られる時代に、如何にも鈍重な“映画館”は、祭りの場と化していくのが時代の流れなのかもしれません。
まぁ、私はそれでも一向に構はない、といふ気が今はしてゐます。だって、アニメの祭りに参加するの、メッチャ楽しいし。今は・・・4月の「劇場版 響け!ユーフォニアム」に向けて、準備整へ中、といった所かな。
(あ、その前に「同級生」を観なくては・・・)
その他
父親が退院。大腸がんの手術をしたんだけれど・・・退院した次の日に、さっそく友人たちと食事会に出掛けてゐるのが、なんとも。お見舞ひに行った時、「なんも食べたくない。でもシャンパンが飲みたい。うまい泡が飲みたい・・・」と言ってはゐたが。次は肝臓に気をつけて欲しい。
トモコがインフルエンザで倒れる。故に、今週はずーっとトモコはお休みでした。週末はトモコに会ひに来てくれたお客さんで溢れましたが・・・みなさん、すんませんでした!
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