マグリット/タカハシくん/けいおん!! [etc]
8月11日〜8月19日
マグリット
京都市美術館の「マグリット展」に行きました。平日なのに、思ったより混んでる。同じく京都市美術館では「ルーブル展」をやってゐて、そちらは混んでるだらうと思ってゐたのだけれど、マグリットまで。ルネ・マグリットはダリと並んで日本では人気のあるシュルレアリスムの画家である、と聞いた事があったのですが、まさに、と人の多さにたじろぎながら思ひました。
さて、私もマグリットの絵をここまで大量にまとめて観たのは初めてだったので、とても興味深かったです。「アルンハイムの地所」「陵辱」「オルメイヤーの阿房宮」(夢の木坂分岐点!)「光の帝国」・・・と、観た事のある絵が多かったですが、初期から晩年まで、年代順にこれだけズラッと並べられると色んな事がわかって面白い。一般にマグリットはシュルレアリスムの画家と言はれてゐる訳ですが、あの彼独自のスタイルを産み出したのは、ブルトンと決別してベルギーに帰った後やったんやー、とか、途中で色々と新しいスタイルの模索をするけれど、結局もとのスタイルに戻って、やっぱその方がいい!とか。
ベルギーのシュルレアリスムの画家といへば、ポール・デルヴォーも居ますが、私はどちらも好きです。どちらも奇妙な静謐さがあって、そこに惹かれる。確か澁澤が、この両者にはフランドル派の静物画の伝統が息づいてゐる、みたいな事を言ってゐたと思ふのですが、さうなのかもしれません。特にマグリットの方は、象徴性を剥ぎ取られた物自体性みたいなのがあって、そこがいい。
10月12日までやってるみたいなので、おヒマな方は是非。
タカハシくん
そろそろ店を閉めようか・・・と思ってゐたら、赤ちゃんを胸に抱いた男性がガラガラっと戸を開けて入ってきました。「いらっしゃいませー」と言って、その男性と見つめ合ふこと数刻。私の灰色の脳髄に稲妻が走りました。タ、タ、タカハシくんやないのー!!!(ちょっと分からんかった・・・)
「お久しぶりです。家族と一緒に来たんすよ」
みれば、タカハシくんの後ろからベビーカーを押したイタリア人の女性が。
「こんばんわ。初めまして。***です。お噂はかねがねよく聞いてをります」
おお!日本語めっちゃ上手。タカハシくんがイタリア人女性と結婚した、といふのは知ってゐたけど、これなら納得。それにしても、はっきり言って美人である。
タカハシくんは、オパールが河原町にあった頃の常連さん。途中で東京に行ってしまって、しかも超人気のイタリア料理店で働いてるもんだから、もう京都に来ることもままならず。祇園のオパールには未だ来店した事はなかった。その間に、イタリア人女性と結婚し、子供も二人できた・・・といふ事は風の便りに知ってはゐたけれど・・・。タカハシくん、相変はらず忙しいの?
「もう、ヤバいっす。もぉーう、ヤバいんすよ」
うん、ヤバさはよく伝はってくるよ。人手は増えないの?
「今の若い奴に、飲食は人気ないんすよ。給料安くて、仕事きついって。たまに入ってきても、すぐに辞めるんすよ。なるべく怒らない様にしてるんですけど」
う〜ん、わかるわー。ところで・・・お子さんは二人。えらく可愛いね。おとなしいし。
「人見知りが激しいんすよ。家ではもうずーと喋ってて、ずーっと暴れてるんすよ。病気じゃないかと心配したくらゐで」
確かに、慣れてきたら店の中を走り回り出したな・・・、でも、もう他にお客さん居ないし、いくらでも暴れたらいいよ。
「関西の人は子供に優しくてビックリしました」
と、これは奥さんの意見。東京だと必ず子供の存在に嫌悪を示す人が居て、もの凄く気を遣ふのだとか。・・・それって、もしかして、今世間で話題になってる「車内にベビーカーを乗せるなと主張する人たち問題」とか「子供は騒音だと主張する人たち問題」のことか?そんな人たちってホントに居るの?とか思ってたけど、東京には居るのかもねー。うーん。
あと奥さんの意見で興味深かったのは、イタリアはいい所だけど、日本の方が私はいい。ホームシックとかあまり感じない。といったもの。主に治安の良さに惹かれてゐるみたいだったけど・・・なーるほど。
・・・と、まぁ、話は尽きないけれど、時間切れ。また、来ます!と言って帰って行ったけれど、なかなか難しいだらう。我々の方が、東京に行けたらいいんだけど・・・それもなかなか難しいんだよねー。
けいおん!!
アニメ「けいおん!」の第二期「けいおん!!」全24話+番外編3話を観了しました。・・・いやー、もうメチャメチャ楽しかったわー。あんまり楽しいんで、終はるのがもったいなくて、毎日1話づつ、愛でる様に観てしまった。
楽しさの度合ひでいふと、「けいおん!!」は「けいおん!」より上でした。それはひとつに、すでに「けいおん!」で十分に登場人物たちのキャラが立てられてゐたことがあるでせう。それからもうひとつ大事な要素として、「けいおん!!」では高校生活最後の一年が舞台となってゐること。つまり、そこには常に“繰り返し”と“終はり”の雰囲気が漂ってゐるのです。だから、彼女たちのなにげない日常が、いちいち光り輝いて、ほとんど感動もの。これは演出の面からも十分に意識的になされてゐて、やはり「けいおん!!」は高度な作品である、と感心いたしました。
あと残すは映画版のみ。これでほんとに「けいおん!」が終はってしまふかと思ふと、なかなか観られない・・・いや、でも一刻も早く観たい気もするし・・・悩ましい所です。
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