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2015年05月05日(Tue)

ピンチョン/インヒア/エニイデイナウ etc

4月23日〜5月2日

ピンチョン

うのぴ来店。ポール・トーマス・アンダーソンによるトマス・ピンチョンの映画化作品「インヒアレント・ヴァイス」を早速観て来たといふ。ピンチョン作品の初めての映画化、ってかそもそもピンチョンなんか映画化できんの?え?監督はPTA(ポール・トーマス・アンダーソン)?なら、期待できるかも・・・と巷で話題の作品である。とはいへ、東京でも3館でしかやってゐず、日本全国でちょろっとしかやらない。とても巷で話題とかいへない。まぁ、映画ファン&文学ファンの間でのみ話題、といった感じですか。

さういへば、うのぴはピンチョンのファンだったな

「いや、ファンといふ訳では・・・ただ、『ヴァインランド』が凄く好きなんですよ。あれはボクの思ひ浮かべるカリフォルニアなんです」

さうか・・・私はあんま『ヴァインランド』は好きぢゃないんだよなー。忍者とか出て来てポップ!とか言はれてるやん、でもあれが下手な親父ギャグみたいに思へるんだよ。あと・・・なんか60年代精神を甘やかに肯定した様なラストもちょっと・・・。私はヒッピーや学生運動とか、あんま好きぢゃないから。

「映画の原作は読みました?ボクは読んでる途中で観に行ったんですけど」

いや、読んでない。私はピンチョンそんなに好きでもないし・・・『V』は面白かったけど、それ以降に読んだ奴が・・・そんなに面白くない割に、読むの大変だし・・・、まぁ、代表作の『重力の虹』は読んでないから、なんとも言へないけど。

「ボクは小説読んでる途中で映画を観に行ったから、それが良くなかったのか、映画の方はあんまり・・・でも、ラストに流れるチャック・ジャクソンの曲が、もうビビるぐらゐ良くて。自分の考へる完璧なソウル。なんぢゃこらー!と、それで全てが吹っ飛びました」

うーん、それは楽しみだなぁ・・・。

インヒアレント・ヴァイス

そんな訳で、シネリーブル梅田まで「インヒアレント・ヴァイス」を観に行きました。上映館が少ないからか、ほぼ満席!えらい熱気の元に観るはめに。
・・・ふーむ、なかなか面白いやん。ってか、けっこうちゃんとピンチョン感があって大したものだと思ふ。原作は読んでないけど、まぁ、かなりうまくやったのでは?なんていふか、距離感が抜群だと思ふ。とはいへ、私はそんなにピンチョンもPTAも好きではないので、大騒ぎする程ではないけれど。それでもなかなかにいい映画を観たなーといふ満足感がある。何度も例に出して悪いが、イニャリトゥの「バードマン」みたいな小賢しい映画の対極にある映画。愚直に全世界を提示しようとしてゐる。うのぴは、なんかMTVのクリップ集みたいでイマイチ、と言ってゐたが、さうは思はなかったな。確かにエピソードの羅列ではあるが、音楽の使ひ方がグチャグチャで、といふのは音の大きさや質感や繋ぎがグチャグチャで、そんなクリップ集の様なキレイなものには収まらず、全編ドラッグの酩酊感の中にあって、それが良かったと思ったのだ。ただ、やはり私はピンチョン的なユーモア感覚には共感できず、劇場内で笑ひが起こるたびに「これ面白いかぁ?」と違和感を強烈に感じ続けたのも事実。あと、ヒッピーがやっぱ好きじゃないので、出て来る人々や世界感にも共感できず。まー、そんなこんなで、いい映画ではあるだらうが、個人的にはそこまで好きな映画ではないなぁ、と思ったのでした。

エニイ・デイ・ナウ

うのぴ再び来店。「映画どうでした?」ときかれる。
うーん、なかなか面白かったよ。まぁ、ピンチョンがそんな好きではないからあれだけど、でも観て良かったよ。満足した。

「さうですか・・・ボクは小説から聞こえてくる音楽と、映画で使はれてゐる音楽が違ひ過ぎて・・・やっぱガッカリしたんですよね。小説に縛られ過ぎてるかもしれませんが。で、チャック・ジャクソンはどうでした?」

ああ、あれね!うん、知ってる、知ってるよ、あの曲。ってか、持ってるよ。あれバカラックの曲やん!つーか、持ってきたよ、バカラックのボックス。聴いてみる?

「あー、あれバカラックですかー。・・・いいですねー、ジェリー・バトラーとか・・・ボクねぇ、『LAヴァイス』はガレージパンクだと思ったんですよ。それがカンとかかかってるし・・・ニール・ヤングも全くあってない」

ふーむ、私は原作読んでないし、そこらは気にならなかった・・・ってか、そんなん気にしてたら映画観れんよ。映画は映画だし。原作とは別物と思はないと。

「それは分かるんですけど・・・え、あれ?こ、これは・・・!」

うわ!『ニューヨークシティーセレナーデ』が!

「あああ、外人のお客さんが帰っちゃいましたよ!」

・・・うーん、いくらバカラックでも、やっぱクリストファー・クロスはやばかったか・・・・。

「・・・ああ、これこれ!やっぱこれっすよ!完璧やわー」

みなさん、うのぴの考へる「完璧なソウル」を御堪能下さい。

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