フィオナ・タン/婚活/ロック魂 [etc]
3月10日〜3月16日
フィオナ・タン展
国立国際美術館にて「フィオナ・タン まなざしの詩学」展を観ました。
フィオナ・タンは女性の映像作家。私は初めて知りましたが、もう20年近くも活動を続けてゐる人で、そんな彼女の代表作が集められた展覧会です。
映像作家の展覧会って、面白いですよねー。単純に、普段なら絵や彫刻などが飾ってある場所に、様々な映像が流れてゐる、といふだけで面白い。だから映像作家の展覧会って、私は好きなんですが、難点がひとつある。それは、観るのに時間がかかる事です。
早い時間に美術館に行くのって、(我々にとって)至難の業なんです・・・。
一念発起していつもより3時間も早く起きたのですが、トモコが「ムリ」と言ふので、ぢゃあもう少しだけ休むか・・・と二度寝したら2時間ほど寝てしまひ、慌てて飛び出したものの、トモコが「お腹空いた」と言ふので、ぢゃあ少しだけなんか食べるか・・・となって蕎麦屋さんに行って、蕎麦や天麩羅をつまみながら日本酒なんて飲んでゐたら、美術館に着いたのは閉館の1時間前。う〜む、早足!早足!と、館内をたったか歩き回って、気になった作品だけをしばし見つめる・・・といった感じになってしまひました。
こんな体たらくで感想を言ふのも何ですが、まぁ、些か理に勝った作品が多い様に感じましたね。って、現代藝術なんて大抵さうなのかもしれませんが。彼女自身の民族的出自や女性といふ属性から、記憶・蒐集・歴史といったコンテクストを通って、アイデンティティの問題へ・・・といった感じでせうか。映像は繊細で柔らかい。そこが一番興味深かった点です。個人的に一番気になったのは「ライズ・アンド・フォール」といふ作品。スクリーンが二つ少し離して並べてあって、そこに別々の映像が映る。映るのは、若い女性と老女、そして滝。女性たちの静かな日常と、轟音を立てて落ちる瀑布がほぼ交互に現れる、といふ。不思議な隠喩に満ちた作品で、せめてこの作品だけでも最初から最後まで観たかったな・・・。
美術館、もうちょっと遅くまでやってくれないもんでせうか。
婚活パーティー
お客さんから聞いた話なのだけれど、そのお客さんは自衛隊の婚活パーティーに参加した事があるさうだ。まづ、朝の8時半に集合して(40名ほど)、バスに乗せられ、駐屯地まで直行。ラッパの音と共に迎へられ、最初は大きな部屋に案内される。そこで自衛隊についての説明を受ける。様々な図表を見せられながら、昇級や年収、保険や退職時の手当の事などを説明され、自衛隊員の奥さんによる「自衛隊員と結婚してここが良かった・悪かった」といふアンケートも見せて貰へる。
下準備が整った所で、次は体育館へ。そこには全身を迷彩服に固めた自衛隊員の方々が(40名ほど)。数グループに分かれて交流。自己紹介と写真撮影(?)、それを次々とメンバーを変へながら行ふ。その間に、そのパーティーには参加してゐない自衛隊員の方々が、特製のカレーを作ってゐる。そして、昼食。むろん、カレー。しかも!そのカレーライスは、ビニールで覆ったトレーの上に直接盛ってある自衛隊仕様。食べ終はったら、ビニールを剥がして丸めて捨てればトレーを洗はずに済む、といふ仕掛けだ。うーむ・・・。
その後、また少し交流の時間があって、気に入った人同士でメアドを交換して、パーティーは終了。またしてもラッパの音に送られて、バスで集合地まで送り届けられた、とのこと。
いやー、自衛隊の婚活パーティーって凄いわー・・・と書いて気がついたのだけれど、私はそもそも一般の婚活パーティーとはどういふものなのか全く知らないので、これがどこまで変はってゐるのか判断のしようがないのであった。婚活パーティーって・・・どんなの?
ロック魂
ひょんな事からYOU TUBEで鮎川誠が出てゐるテレビ番組を観てしまひました。NHK福岡制作の「ただいま!」とかいふ番組で、鮎川誠が、武田鉄矢と一緒に故郷の久留米を廻る、といった内容。鮎川誠の変人振りがよく出てゐてとても面白かったのだけれど、その変人振りが密接にロック魂と結びついてゐる事も実感されて、それも興味深かった。
鮎川誠のロック魂が最も発揮されてゐたのが、「ちゃんどん」を食べる所。この「ちゃんどん」とは、鮎川誠が中学・高校時代によく通ったラーメン屋さんにあるメニューで、お金のない学生のために、ちゃんぽん麺から肉類を抜いて値段を安くしたもの。さすがに今は野菜も高いので、このメニューはなくなってゐるさうだが、昔よく食べた鮎川誠のために、番組内では特別に作ってくれて、それを鮎川と武田鉄矢が食べる、といふ趣向である。
はっきり言って、不味いんだらうね、これ。感想を求められた武田鉄矢は「いかにも部活帰りの学生が食べるラーメン、って感じ」と、遠回しなのか直接的なのかよく分からない答へをしてゐた。対して鮎川誠は、顔中を汗だらけにして夢中で食べ、「やっぱ美味かー、これがちゃんどんだ!」と宣言。ここに!私はロック魂を感じましたね。
そもそもロッカーたるもの、料理が美味いだの不味いだの、そんな事を言ふもんぢゃない。ロッカーにとって大事なのはシチュエーションとフィーリング。子供の頃に夢中で食べてゐたラーメンを、何十年振りかで故郷で食べる。それが不味い訳がない。鮎川誠は真から美味しさうに食べてゐた。これぞロック魂だ!
やっぱ鮎川誠は日本の誇るロッカーである、と確信しました。
Comments
コメントしてください