京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal：Home

JR名古屋駅から地下鉄東山線で伏見駅まで（なんだか京都みたい）。そこで鶴舞線に乗り換へて大須観音駅で下車。駅から出ると、すぐに大須観音があって、そこの境内を抜けると（むろん、お参りしました）、商店街の外れに大須演芸場はありました。
想像通りの鄙びた建物。切符売り場も閉鎖してゐましたが、臆せず扉を開けて入っていきます。中でひとり１５００円也を払って、会場へ。
大須演芸場には一人で行ってはいけない、なぜなら一人で鑑賞するはめになる可能性が高いから・・・といふ恐ろしい噂を聞いてゐたので、少し緊張して扉を開けたのですが・・・なんと！思ったより大勢のお客さんが！ しかも、笑ひ声でどよめいてゐます。どこぞのテレビ局も来てる様で・・・と、多分、もう少しで“奇跡の寄席”が閉まってしまうので、さすがにお客さんも来てゐるのでせう。我々もこっそり前の列に座りました。

ここで我々の観た芸人さんたちを記しておきませう。（ちなみに、我々は普段はかういった大衆芸能と全く無縁の人間です）
まづ、艶歌シャンソニエ家元 ひと：みちゃん。彼は結構ここの人気者らしく、他の芸人さんたちからもよく名前を出されて弄られてゐました。確かに、全く、一寸たりとも面白くない。といふか、面白くない事が面白い、といった芸風、とでもいいませうか。
私とトモコは、奇しくも若い時にライブハウスなどでたまに観たノイズ系ミュージシャンの人たちを思ひ浮かべました。なんか、あれと似た空気がある。つまりはアーティスト？ はっきり言って、いい感じです。

次は上方落語の桂珍念。桂文珍の二番弟子、といふだけあって、さすがに上手です。あのメンツの中だと、上手さが際立ちます。が、特に面白いといふ訳でもない・・・。これは、単に我々が普段落語を聴かない人間なので、それで落語の魅力が分かってないだけなのかもしれません。

次は漫談の早川侊志。この人がまた・・・ちっとも面白くない。ひと：みちゃんと違って、面白くない事が面白い、といふ訳でもなく、ただひたすら面白くない。いくらなんでもそれは・・・といふギャグを次々と繰り出します。これは・・・きつい。でも、これこそ、大須演芸場の真髄なのかもしれません。

次に上方落語の笑福亭羽光。創作落語をやりましたが、まぁ、下手。下手に思へるんだけれど・・・これ、結構面白い。声を出して笑ったのはこの人のだけかも。バカバカしすぎて、拙くて・・・笑ってしまった。うーむ、笑ひとは難しいものです。

次に曲独楽の柳家三亀司。独楽を扇子の上で廻したり、羽織の上を走らせたりと、まぁ、典型的な大衆藝。かういふのって貴重だし、残った方がいいとは思ふんだけど、残るのは難しいだらうなぁ・・・といったものです。喋りは自虐的といふか、自暴自棄といふか。藝のうち、なのかもしれませんが。

そして快楽亭ブラック。思ったよりフツー。でもさすがにこなれてゐるといふか、妙な艶があって興味深し。なんにせよ、念願のブラックが聴けてよかった。それも大須演芸場で。

終演は１６時だったので、それから大須の街をブラブラしました。ここがまた結構面白い街で。鄙びて、潰れかけた商店街が広がってゐるんだけれど、そこらに古着屋があって。古本屋やレコード屋、雑貨屋やアニメの店、なども多数。さらにブラジル料理やメキシコ料理、台湾料理に韓国料理、ケバブ屋と、外国の人たちがやってる料理屋もたくさん。異国情緒と猥雑さに溢れ、アジア的、といふか、我々の様な阪神間出身の人間にとっては、（神戸）モトコー感溢れる街。そんな中、ゴスロリっぽい店が散見するのが名古屋的なのか？ お稲荷さんが多いのも点数高し。いやー、楽しい所です。

てな訳で大須演芸場。今月いっぱいで閉まってしまふとの事なので、行ける人は是非とも行っておいた方がいいと思ひます。