京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > 元店主の日記 >

サブメニュー

検索


月別の過去記事


2011年11月30日(Wed)

ウインターズ・ボーン 映画

新京極シネラリーベにて「ウインターズ・ボーン」デブラ・ブラニック監督を観てきましたー。
これは現代アメリカにおけるヒルビリーの人々の世界を描いたもの。え?ヒルビリーって、あのリーゼントに革ジャンの・・・って、それはロカビリーか。まぁ、日本に於いてはヒルビリー・バップスのおかげでロカビリーとヒルビリーがごっちゃになってる人って案外多いと思ふのですが(って、そんな事ない?)、んー、バンジョーかき鳴らしながら歌ふ白人カントリーミュージックのこと、ってのがより正確かな。これは現代でも活躍するさういったカントリーミュージシャンの事を描いた音楽映画・・・ではなく、南部の田舎者といった意味合ひの蔑称で呼ばれる人々の世界を描いた映画なのであった。

さて、私にとっても“ヒルビリー”といへば、南部に居る白人の田舎者、プアホワイト、レッドネック・・・といったなんかぼんやりしたイメージしかなかったのですが、それではあまりに大雑把で不正確である、といふ事をこの映画のパンフレットから学びました。町山智浩の解説によれば、ヒルビリーとは、ヒル(山)に住むビリー(スコットランド人)の事で、もともとは英国が合併したアイルランドに入植したスコットランド人、いはゆるスコッチ・アイリッシュで、19世紀にアメリカに渡ってきた人たちのことらしいです。彼らはアメリカにやって来たものの、すでにほとんどの豊かな土地はイングランド系移民に占められてゐたので、彼らの下で小作として働くのを潔しとせず、耕作には向かない山に籠ったのであった。
もともと差別されてゐた人たちなので、山に籠った事で余計その差別が温存・増幅され、彼らの方でも「お前らには頼らねえよ!」といった感情が強く、故にアメリカから半ば捨てられた形。アメリカでも最も貧しく、最も大学進学率の低い地域となってゐる、とのこと。

権威を憎み、政府や法律を軽視し、銃と血族の掟を重くみる・・・となれば、おお!リバタリ!と、私の思考回路ではなる訳です。実際、反政府、反権威、反エスタブリッシュメントで、独立自尊を尊ぶリバタリアンは、私の範とする所なのですが、アメリカにおけるホントーのリバタリアンの人たちの姿がいまひとつ見えてきません。私が勝手にイメージしてるのは、イーストウッドの映画やサウスパークなので、著しく偏ってゐるのは間違ひない所でせう。
どーも向かうでは、リバタリアン=田舎者、ダサイ、頭悪さう、貧乏・・・といったイメージがある様で、そら都会派の金持ち連中は大体“左”に走るのが相場な訳で、アメリカン右翼のリバタリアンがさういったイメージになるのは分からないでもないのですが、にしてもそれだけぢゃないだらう、もっと情報が欲しい、と思ってゐた所に現れたのがこの映画、な訳です。

いやはや、なんとも凄まじい世界です。この寒々とした、荒涼感は半端ないです。法や権威、政府に頼らず、自分たちだけの掟で生きて行く・・・となれば、ギャングやマフィアなど反社会的な組織がさうですが、それに近いものがあります。実際、ヒルビリーの人たちは、密造酒や覚醒剤を作って生計を立てる人も多い様で、ヒルビリー=犯罪者といふイメージもアメリカでは根強いらしいです。
むろん、彼らは正確にはリバタリアンではないでせう。血族の掟が重くのしかかってゐる所とか、絶対個人主義のリバタリアンにはそぐはない。が、さういった掟をものともせず、家族を守るために奮闘する主人公のリーには、リバタリアンの面影があります。
権威や権力に頼らず、自分たちだけの力で生きていく事が、時としてどの様なものを齎すのか。この美しくも寒々とした風景を、心に刻み付けるべきであらう、と思ひました。

アメリカを理解するために、そして今や完全にアメリカの支配下に取り入れられつつある日本を理解するために、ある意味必見の映画であるよなぁ、と呟いてみたりして。

Comments

投稿者 可能涼介 : 2011年12月03日 20:41

小川君には報告しましたが、結婚しました。
相手の名前はネット上では秘しますが、関心のある知人の方は、ご連絡ください。
上の映画と関係がない話で、失礼しました。

投稿者 元店主 : 2011年12月04日 03:25

あれ?相手の名前はネット上では秘すの?
結婚のこと日記でとりあげて、と言ってたけど、これでは無理やん。
つーか、その制約つきで書けといふ事か?・・・わからん。

とりあへず、結婚おめでたう!Yさんにもよろしくー。

投稿者 可能涼介 : 2011年12月04日 19:11

いや、諸事情あって、とりあげないでね、という話です。
すみません。


投稿者 可能涼介 : 2011年12月10日 20:06

webで「川上未映子問題情報庫」の最新情報をご覧ください。
文学史上の「事件」が起こっています。

投稿者 可能涼介 : 2011年12月27日 02:02

wikipediaに書かれている方へ。
私の妻は山田詠美です。
書き込んでいただいて構いません。
結婚は2011年11月です。

投稿者 可能涼介 : 2012年01月06日 17:55

ここに書いたこと、wikipediaに反映されるんですね。
小川君や根本さんや佐川さんと撮った写真まで、リンクされていました。

投稿者 可能涼介 : 2012年01月12日 23:32

いま売っている「SPA!」で、坪内祐三と福田和也が、私に喧嘩を吹っ掛けてきたので、ネットでですが、宣戦布告しました。
「拝啓 市川真人様 川上未映子様」で、検索してみてください。
こういうの、ずっと残るんですよね。

投稿者 可能涼介 : 2012年01月23日 03:38

なんか、二月の前半に、何人かで祝いの会を開いてくださるようなんですが、交通費がかかるので、関西の友人には言わずにおきます。ご了承ください。私の知らぬ間に首都圏に引っ越している方がもしいれば、ご連絡ください。

投稿者 福地隆史 : 2012年01月29日 00:59

結婚おめでとう。

ETを見に行った3人のうちの一人として祝福させてください。

コメントしてください





※迷惑コメント防止のため、日本語全角の句読点(、。)、ひらがなを加えてください。お手数をおかけします。


※投稿ボタンの二度押しにご注意ください(少し、時間がかかります)。



ページトップ