京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal：Home

その日の夜、私が例によって浅い眠りの中で夢を見てゐたら、出て来たのです。ババさんが。私は、ババさんは死んだはずだからこれはお兄さんかな、と思ったのですが、どうみたってババさんです。で、私に映画のパンフレットを差し出し、「これ、面白かったですよ。是非、見に行って下さい！」と言ふのです。
私は目覚めた後、しばし茫然として、ああ、ババさんが帰ってきた、と呟きました。そして、これは是非、ババさんのオススメ映画を見なければならん、と思ったのですが、ババさんが差し出したのがなんの映画のパンフレットだったか、思ひ出す事ができません。確か、２本の映画がひとつのパンフレットに纏まってゐたのですが・・・。
しかし、考へてみれば、何の映画か思ひ出す必要なんてない。今現在やってゐる映画で、もしババさんが生きてゐたら必ず見たであらう映画を２本選ぶのは、あまりに容易い事だからです。それは、もちろん、「ヒックとドラゴン」と「トイストーリー　３」です！！！

もー、間違ひないよなー、絶対。そして、普段の私なら絶対に観に行かない映画なのも、また間違ひない、のです。
うー、アニメかー、興味ないなー。・・・でも、仕方ない、行くか。せめて１本。「トイストーリー」の方は、１も２も当然見てないので、じゃー、「ヒックとドラゴン」だな。よし。
てな訳で、MOVIXへと行ってきたのでした。

結論から言ひませう。
面白かった。凄ーく、面白かった。ドキドキしたし、手に汗握ったし、泣いたし、声あげたし、感動した。映画として、とてもよく出来てゐる。映像表現も、わー知らん間にこんなに凄くなってゐたのかー！と、驚嘆する程で、特に、ドラゴンが高速で空を飛ぶシーンはぶっ飛んだ。感心してしまった。
が、それでも、この映画が好きかと言はれると・・・・・・。

やはり、絵がダメだ。正直言って、気持ち悪い。それが言ひ過ぎだとしても、ちっとも可愛くない。風景はまだいいとして、人間を含む動物全般がだめ。ドラゴンも、なーんか猫みたいな動きをして可愛さを出さうとしてゐるのだけれど、ダメ。やはり、気持ち悪い。この質感、この色調。そして、この動き。
うーん、こればっかりはどうしようもない。趣味の違ひとしか、言ひやうがない。
故に、凄く面白いし、よく出来た映画だし、映像表現も素晴らしくて文句のつけやうがないけれど、私は・・・やはり好きではなーい！！！ごめん、ババさん！

最後に一言だけ。
この映画、宣伝では「少年はドラゴンに翼を与え、ドラゴンは少年に勇気を与えた」「弱虫なバイキングヒックと・・・」などと言はれてゐたので、勇気がなくて臆病・弱虫の主人公（ヒック）が、ドラゴンに出会ふ事になって勇気を持ち、一人前の大人になっていく・・・といふ話なのかなー、と思って、私は観る前からウンザリ。そんな下らない話は見たくないよ、トホホ、と思ってゐたのですが、そして私と同様に感じて見る気を喪失させてゐる人もきっとたくさん居ると思ふので書くのですが、この映画、そんな話ではありません！いつもの事ながら、これらの宣伝文句はウソ・間違ひです。
ヒックは最初から勇気のある少年、下手したら一番勇気のある人間として描かれてゐます。そんなの見れば一目瞭然です。それなのに、なんでこんなウソ・間違ひの宣伝をするのかなー。俗情と結託してるのか？それとも単に映画を見れてないのか？謎です。

つー事で、私と同様に感じてウンザリしてゐた人は、安心して見に行って下さい。バチグンにオススメできます。
が、私と同様に絵がダメな人には・・・、やはり薦められないかな。

私がこの映画を見たのは、８月１６日。送り火の日。ギリギリ、間に合った感じです。で、私は映画の帰り道、四条の橋の所で山の方を見つめたのですが、すでに送り火は消えた後。それでも、じぃっと山の方を見つめてゐると、何か、黒いものが空に向かって飛んでいった様にみえました。

ううーむ。ババさん、また来年〜。