邦楽とバロック [音楽]
先日部屋を整理してゐたら、古いCDラジカセが出てきました。こいつが、諸悪の根源だったのです。
その昔、ラジオッ娘だったトモコが「あー、久しぶりにラジオが聴きたいわー」と言ふので、「何を?」と尋ねると「邦楽とバロック」といふ答へ。トモコによると、ラジオとは邦楽(長唄とか常磐津とかの事です)とバロック音楽を聴く装置らしいのです。
それはいいかもしれない、といふ事になって、邦楽とバロックを聴く事にしました。ところが、邦楽がやってゐるのは午前5時20分。バロックは引き続き午前6時です(どちらもNHK FM)。ここで、我々の生活時間帯を説明いたしませう。
仕事が終はり、家に帰り着くのが大体0時過ぎ。遅くなれば、午前1時を過ぎる事もあります。それから、何か食べたり、お風呂に入ったり、ビデオを観たり、音楽を聴いたり、本を読んだりしてゐると、どうしたって寝るのは午前5時頃となります。それから約6時間の睡眠をとり、午前11時に起床。仕事に出かけていく、といふ段取りとなってをります。
こんな状態のところに、午前5時20分からの邦楽アワー、6時からのバロックの森、を聴くとなれば、どうなるでせうか。睡眠時間が不足となり、生活が破壊されるのは必至です。そこまで分かってゐたら、そんな真似はできません。それこそ、烏滸の沙汰、愚か者の所行でせう。
でもね、やってしまふんですよねー、これが。
また、それがとても気持ちいい。邦楽を聴く時は日本酒を舐め、バロックを聴く時はグラッパなんぞを流し込む、なんて事をしてゐると至福の時です。窓の外を眺めると、白々と夜が明けてくる。連日の寝不足で頭は朦朧とし、身体は怠くて動かすのが億劫。40歳を過ぎてまでこんな馬鹿な事をしてゐるかと思ふと、忸怩たる気持ち、自嘲・自責の念がふつふつと沸き、身を苛み、それがまた三味線の音に絶妙にマッチして、この泥沼に永遠に身を浸してゐたい、明日がどうならうと一向に構はない・・・と・・・。
やっぱ、ラジオが諸悪の根源だったな。
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