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2010年03月13日(Sat)

母なる証明 映画

この間の火曜日に、みなみ会館で「母なる証明」(監督ポン・ジュノ)を観ました。

相変はらず、画面が美しい。といふか、カッチョイイ!昨年この映画を見逃して、「ああ、DVDで観る事になるのか・・・」と思ってゐたけれど、スクリーンで観られて良かった、と真剣に思ひました。

これはマツヤマさんもレビューで触れてゐましたが、ウォン・ビンが立ち小便をするシーンの、その立ち小便する壁!私が勝手に呼ぶ所の“ゴダールの壁”で、おおー、きたなー、といふ感じ。この壁、昔の日本映画ではチョクチョク現れましたが(大島渚の「日本春歌考」など)、かういふのが観られるのが嬉しい。
その他にも、社会の底辺、人間の暗黒面にがっちりフォーカスしながら、それをスタイリッシュに描く技にホレボレ。水を描く事に対する執着も健在で、堪能いたしました。

内容についても少し触れると、これは母の子に対する盲目の愛を描いた物語・・・・・・ではなく、むしろ贖罪の物語であらうと思ひました。
このお母さんは、子どもが5歳の時に、貧しさのあまり親子心中を図って農薬を飲み、失敗します。その時の後遺症で子どもは知恵おくれになってしまひ、その事に対する贖罪意識でこのお母さんは生きてゐるのです。だから、自分の子どもが、知恵おくれの故に皆に苛められたり、無実の罪を着せられたりするのは、すべて自分のせゐだ、自分がなんとかこの子を救はなければ!といふ訳です。
原罪があるが故に愛の行為がなされる、といふのはとてもユダヤ・キリスト教的ではないか?などと思ったりした訳ですが、さういった行為の果てに、恐るべき真実が開示されます。それはお母さんの全存在を崩壊させかねないものなのですが・・・・・・それに対する救ひ・恩寵が忘却と共に訪れる、であらう、といふ展開が、また・・・。

ところで、みなみ会館といへば、今月の半ばにRCSがその企画・運営から撤退します。RCSは滋賀からも撤退する様で、一体これからどうなるのか。先週、RCSのサトウさんが来店されましたが、とても辛く苦しさうで、私は何と言葉を掛けてよいものか分からず、ただ無力に頷くばかりでした。
私にとって、“京都の映画文化”とはババさんとRCSでした。もし、それが二つともなくなってしまふ様な事になれば・・・。

映画館を出て、土砂降りの雨の中、何故か開かなくなった傘と格闘しながら、恩寵は忘却と共にしか訪れないものなのか、と自問を繰り返しつつ、私は家路を辿ったのでした。

Comments

投稿者 酔仙亭 : 2010年03月17日 21:27

 昨日、出張の折、お伺いしたのですが、お休みだったのでwすね。
 落涙…。
 また、次回、何とか、出張の機会を作って…。
 
 事前に確かめなかった自分が悪いのですが、何とも…。
 
 捲土重来!臥薪嘗胆!
 って、大げさですが。
 とはいえ、出張の首尾は上々でした。
 ということで、次回を期待したいものです。

 騒いで、申し訳なしです。

 取り急ぎ。

 

投稿者 元店主 : 2010年03月18日 01:14

あららー、火曜日に御来店でしたか。それは、とても残念です。
でも、場所はお分かりになられたのですよね?なら、是非、次回に!

お待ちしてをりますよー。

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