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2007年11月06日(Tue)

政局混迷 憂国

 ハッシーが来店しました。

「キシシシシ! …あのー、ケンタロウさん、今騒いでゐる政治のこと、解説して貰へませんか?」

 あー…小沢一郎が民主党党首を辞任するとかしないとか、あれのこと?

「さうです。連立とか、何とか」

 んん〜…ハッシー、本当にそんなこと聞きたいの?

「ホンマです! ホンマです!」

 やー……ま、いいけど。……えー、まづ、小沢一郎と福田首相が話し合ひをやつて、自民党と民主党を連立しよう、といふ事になつた訳。で、その事を小沢一郎が民主党に帰つて報告したら、他のみんなに反対されて、その連立の話は潰れちやつたの。で、小沢一郎が責任をとつて辞任する、と。ま、こんな感じかな。

「はぁ……」

 なに? 何か不満?

「いや…それだけですか?」

 ……うう〜ん、ま、それだけかと言はれれば、もちろんそれだけではないんだけど。

「ええー! ぢや、ちやんと教へて下さいよ!」

 あー、やー、まー、いいんだけど…、なんだかなぁ。…ハッシーは「テロ特措法」といふのを知つてる?

「ええ、…えー、テロが得をする、とか、…あ、テロを送り込む? とか?」

 あのなぁ…。う〜ん、ぢや、今アメリカがイラクと戦争をしてゐる、といふかイラクを侵略してるのは知つてる?

「あ、はい、はい」

 ぢや、ハッシーはその事についてどう思ふの?

「あー……」

 何も思はないんだらう? ……そのイラクとの戦争は、アメリカはイラクをテロリストの巣窟みたいに決めつけて「テロ戦争」と勝手に名付けてるけど、実質はアメリカによるイラクの侵略。イラクを占領して石油を抑へてゐる訳。その侵略戦争に、日本は協力してゐる。

「あ、さうですね」

 それ、何か変ぢやないか?

「あ? 何がです?」

 だからー、日本は憲法で戦争を禁じられてゐるぢやないか。特に侵略戦争なんて、絶対にしたらダメだらう。でも、小泉政権の時に日本はアメリカの完全な手下に成り下がつたから、アメリカの戦争には協力しなければならない訳。で、無理矢理作つた法律が「テロ特措法」。これで、特別にアメリカのテロ戦争には参加していいことになつたんだ。

「そんなんズルやないですか!」

 だらう? ズルなんだよ、ホント酷い。で、この酷い状況に敢然と立ち向かひ、もうアメリカの子分をやめよう! 日本は日本人のために政治をしよう! テロ特措法反対! 郵政民営化も反対! と、訴へて選挙で勝利したのが、小沢一郎。つまり真の愛国者、今最も信用できる政治家が、小沢一郎、と。

「ええー! さうなんですかー! タダの悪人やと思つてました!」

 ま、小沢一郎に関しては私もかなり悩んだんだよねー、どうなんやろ、この人、とか思つて。言つてる事は結構マトモなんだけど、すぐに喧嘩したり、党を抜けたり、壊したり。行動がムチャクチャでよく分からなかつたんだ。だけど、今年の選挙でかなり見直した。で、今回の事で、ほぼ確信した。小沢一郎こそ真の愛国者、立派な政治家なんだな、と。

「ぢや、なんで辞めるんですか?」

 待て待て。えー、まづ自民党との連立の話だけど、これが小沢一郎の方から持ちかけたとか何とか、マスコミで報道されてる。むろん小沢一郎は否定してる。となれば、ウソをついてゐるのはマスコミだな。ハッキリ言へば読売だらう。ズッと小沢バッシングをしてるみたいだし。特に今回の読売の記事は酷かつた。あんな露骨な謀略記事…。読売は、といふかナベツネは、アメリカの手先なんだよねー。ところで、「テロ特措法」がこの10月で切れたのは知つてる?

「あ、なんとなく」

 ホント? …ま、10月で切れてしまつて、もう自衛隊は帰つてくると。インド洋で給油活動をしてゐたんだけどね。そこで、アメリカは怒つたんだなー。もともと安倍政権の時に「テロ特措法」を延長させるはずだつたんだけど、自民党は選挙で大敗するわ、安倍首相は辞めてしまふわで、延長できなかつたんだ。小沢一郎がかなり頑張つたおかげかな。で、アメリカから「何とかしろ!」と、かなりの圧力が掛かつてゐる訳、現在。で、さらに、アメリカに逆らつて「テロ特措法」の邪魔をしてるのは小沢だと、なら小沢を潰せ! といふ命令がアメリカから来てゐると考へられる。最近の連立の話とか、変な動きはそれの現れだらう。…んで、小沢一郎は身の危険を感じて一度党首の座を下りよう、と。

「あ、さうなんですか」

 うん。副島隆彦によれば、これは小沢一郎の「死んだふり戦略」といふらしい。つまり小沢一郎は日本の国益のために、今までもアメリカと死命を賭して闘つてきたんだけど、これまでも何度も身の危険を感じて、その度に役職を放り出したり、党を出たりして、「死んだふり」をして生き延びてきた、といふ訳。私はそれを聞いて、なるほどなー、と思つたよ。それで、小沢一郎の不可解な行動も納得できる。確かに小沢一郎に関しては、様々な悪いイメージがマスコミによつて流布されてゐる。あんなのもイメージ操作だらう。だつて、選挙民からは絶大な支持を得てゐるからね、小沢一郎は。アメリカやマスコミを敵に回して闘ふのは大変だよ。「死んだふり」でもしないと。

「やー、なんか凄いですねー」

 うん、全く政治の世界は奇々怪々だよ。私にはとてもついていけない。確か今日の午後に、小沢一郎が本当に辞めるかどうか、回答するはずだけど。

「辞めますかねー?」

 どうだらう。今、小沢一郎が抜けたら民主党なんてガタガタになるしなー。だからみんな必死で止めてるみたい…。ううーん、わからん!

「キシシシシ! でも、分かりやすい解説ありがたうございました。これでやつと、ニュースの意味が分かります」

 うん…でも、最近は私もよく分からないんだよ、正直なところ。政治にはウラがあり過ぎて。マスコミはウソばつかり報道するし。だからハッシーも自分で勉強して、自分の頭で考へ、判断してくれ。

「キシシシシ!」

 う〜ん、なんだかなァ。

追記

 結局、小沢一郎は辞任を撤回し、留任しました。一旦「死んだふり」をする事で目的は達したのでせうか。あるいは、今回の連立騒動がアメリカからの圧力・陰謀によるものであつたなら、それを冷却する目的で確信犯的に辞任騒動を起こしたのでせうか。つまり、連立騒動とそれに対する捏造報道で小沢は潰されさうになつた。故にまづ自分から「辞める」と言ひだし、みなに止められる形で留任、となればその地位は盤石でせう。私にはこの理解が一番シックリくるのですが…。

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