過激派 [憂国]
フクオカくん来店。
「最近ね、先輩からアレフ(アラフ)に誘はれてるんですよ」
え? アレフ? …あの、宗教団体の?
「いやいや、違ひます。A、L、F、です。動物愛護団体の」
ああ、A、L、F。動物解放戦線だな。あー、ビックリした。宗教団体のアレフかと思つた。ま、アレフぢやなくてA、L、Fなら…ッて、似た様なもんか。でも、どうしてまた?
「やー、先輩が嵌ッてるんですよ。A、L、Fのサイトやビデオを無理矢理見せられて、『オレも入るからお前も入れ』とか言はれてるんすよー。でも、アレッて、どうなんですか?」
うーん、フクオカくんはどう思つたの?
「んー、なんかー、実験動物を救ふとか言つて、研究所に忍び込んで動物たちを盗み出すんですがー、その後に研究所に放火したりしてるんですよ! その様子を誇らしげに公開したりして。なんか、をかしい。やりすぎ」
うん、正に。彼らは過激派だからね。やりすぎ。フクオカくんの感覚は正しいと思ふよ。彼らは自分たちが絶対の正義だと信じてゐるからねー、たまらんよ。ブッシュ政権と同じ。ッていふか、ほんとに同類みたいなもんかも。
「さうなんですか?」
うん、ブッシュ政権を支へてゐるネオコンといふ連中も、元左翼だからね。80年代に共和党に大量入党した(そして共和党を乗ッ取ッた)元左翼の連中を、ネオコンと呼ぶんだ。彼らは民主党の生温いやり方にあきたらず、力で自分たちの正義を成就しようと考へたんだ。そこで、共和党に入つて、ニューヨーク財界、ユダヤ財閥らと繋がり、力(パワー)を手に入れて、現在に至る帝国主義政策を推し進めてゐるといふ訳。A、L、Fの連中も、従来の左翼運動の生温さにあきたらず、過激化した訳だし。“過激化”とは要するに“暴力で全て解決しようとする”といふ事でせう。で、肝心の連中の資金源はといふと…よく分からないけど、多分似た様なところだと思ふよ。怪しい。
「ふーん。あ、それからその先輩、タバコをやめろッて煩いんですよ。タバコを吸ふ事でどれだけ損をしてゐるか、他人に迷惑をかけてゐるか、とか。ズウッと喋つてるんです」
むむむー、分かりやすい先輩だな。多分、地球温暖化も信じてるだらう。そのうちきつと、地球温暖化反対運動に誘はれるよ…よし、フクオカくんにはマイケル・クライトンの『恐怖の存在』を勧めよう。これを読んでおけば、先輩に対抗できる! A、L、Fの後ろ盾になつてゐるELFをモデルにした小説だし。
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「やー、ボク、本なんか読まないしー」
ははは、さうか。さうだよなー。
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