ダイアナ妃 [タクヤくん]
タクヤくんとマホさんが来店しました。
「ケンタロウさん、ダイアナ妃はお好きですか?」
ダイアナ妃? いや、別に好きでも嫌いでもないけど。
「さうでせうー。でも、イギリスの人たちッて、本当にダイアナ妃が好きですよ。ノーザン(ソウルファン)の若い子たち、クリスとかも「メッチャキレイ!」とか言つて絶賛してるんです。もう全く理解できなくて」
なるほど。ダイアナ妃はねー、超名門貴族の出だからね。それで人気があるんぢやないかな。ある意味、今の英国王室よりよほど格が上だから。
「さうなんですか?」
うん。たしかイギリス生え抜きの貴族だつたはず。オールソープ公爵家だつたかな? それに較べて今の英国王室は、ドイツの方から来た他所ものでせう。しかも、ユダヤの血が流れてゐるんぢやないかと、囁かれてゐる…。
「ユダヤ?」
いや、確証はないし、本人たちも否定してる様だけど。でもさういふ噂があつて、現王室に対する不信感はある程度そこに根ざしてゐるみたい。ま、私も本当のところはよくわからないんだけど。で、反ユダヤ、反現王室感情が、ダイアナ妃人気に繋がつてるとは思ふよ。
「えー、本当ですかー?」
うん…、だつて、ダイアナ妃の最後のボーイフレンドはアラブ人でせう。一緒に殺された…。「え! ダイアナ妃ッて、殺されたんですか?」
いや、まー、さういふ噂だよ。もちろん英国王室は否定してるけど。でも、多分殺されてるでせう、英国王室に。ユダヤとアラブの対立は根深いし。現に、殺された(と思はれる)アラブ人のボーイフレンドは、ハロッズの御曹司だつたんだけど、ハロッズ側は“英国王室に殺された! ”と主張してるよ。それで、自ら“英国王室御用達”を返上したんだ。まー、ああいつた世界はエゲツナイよ。
「ケンタロウさん」
なに? タクヤくん。
「ゴマだれはお好きですか?」
ゴ、ゴマだれ? いや、別に好きでも嫌いでもないけど。
「ボクねー、大好きなんですよ! でね、このあいだ家の中を探してたら、ゴマだれが出て来たんですよ。だけど、見てみたら、賞味期限がなんとその日まで! こんな事ッて、あるんやー、と思つて。で、その日はタップリとゴマだれをかけて食べました。こんな贅沢は、もう一生できないかも、とか思つて」
さ、さうかー、それは良かつた。……あれ? 何の話をしてゐたんだつたかな?
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