千秋楽 [歌舞伎]
本日は七月大歌舞伎の千秋楽です。途中で海老蔵が怪我して出演取りやめ、といふハプニングのあつたこのたびの七月大歌舞伎。愛之助、頑張りました。朝から晩まで、全ての演目に出ずッぱりです。さらに頑張つたのが、もう60歳を超える片岡仁左衛門。本公演の座頭(だよね?)でもあり、なんとしてでもこの公演を成功させねばならないといふプレッシャーは大きかつたでせう。そしてそれを見事に成し遂げました! と、いへるのも、やはり『女殺油地獄』の素晴らしさ故ではないでせうか。
我々は先日に幕見で観たのですが、その時も充分凄かつた。河内屋与兵衛は仁左衛門以外にあり得ない、海老蔵ぢや無理だらう、と、海老蔵の河内屋与兵衛を観てもゐないのに確信した程(いや、それでも観たかつたけどね、海老蔵の河内屋与兵衛)。その『女殺油地獄』、今日は前から2列目です。
…うわー、凄いわ、これ。さすがに前から2列目だと仁左衛門の顔はよく見える。皺も、まー、みえる。が、やはり放蕩息子の若造にしか見えん!
まづ、声が若々しい。それから所作が溌剌と若い。う〜む、人間の若さを決めるのは、声と所作だな、と認識しました。
千秋楽だからか、本日の仁左衛門はノリにノッてゐました。もしかしたら、これで本当に河内屋与兵衛はやり収めになるかもしれない、といふ想ひがあつたからでせうか。大ハプニングがあつた本好演をなんとか無事に終える事ができたといふ感慨があつたからでせうか。とにかくここまで圧倒的な舞台は、私の歌舞伎鑑賞史上初めてです(ッて、まだ歌舞伎を見始めて半年ですけれど)。前の2演目も、昼の部も、海老蔵の怪我も、全て吹ッ飛んでしまひました。凄惨な無惨美に徹底的に打ちのめされ、茫然として松竹座を出たといふ次第。
「河内屋与兵衛は男でござる」
「なんでもない、な・ん・で・も・なァい〜」
「死んで下され!」
と、思はず出てしまふ河内屋与兵衛の真似。今も真似してブツブツ言ひながら、この日記を書いたのでした。寝不足かな…。
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