シューター [映画, リバータリアン]
MOVIXにて『シューター』アントワン・フークア監督を観ました。
私はこの映画を観て、強く思ひましたね。イーストウッドの後を継ぐのは、このアントワン・フークアではないか、と。それほど、暴き系で且つリバタリなエンターテインメント映画であつたのです。
この映画は、もうそれこそ色んな事を暴きまくつてゐます。政府の陰謀、現代世界の支配構造の秘密、第三世界に対する政策の真実、などなどなど…。この映画を一本観れば現代世界の秘密が一気に分かる! と、断言したい気持ちにさせられる程なのですが、その中で、私の最も驚愕したのは(そしてババさんがひとり劇場で爆笑したのは)…、以下の事です。
主人公が、政府内に潜む悪人たちと取引をするシーンがあります。その時に、主人公が政府側のエージェント(つまり悪のエージェント)として指名したのが、なんと! 「U2のサングラスをかけた奴」だつたのです!!! おおー、や、や、やはりー!(2006年10月7日の日記参照)
それにしても、こんなヤバい事を暴いてゐるとは、『シューター』恐るべしです。現代世界の秘密を知りたい人は何と言つても必見でせう。
それはともかく、この映画はそんな政府の陰謀に対して、ひとりの男が立ち向かう、といふものです。その主人公は天才的な射撃の名手。シューターです。かういつた所が、現代のカウボーイ=リバタリアンを描くイーストウッドに通じると思つたのですね。実際、露骨にそれを思はせる台詞もありました。
「現代では正義が勝つとは限らない。開拓者時代でもないし、一丁の銃で悪をうつといふ訳にはいかないだらう」
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しかし勿論…といふ展開になるのですが、私はこの展開を観て、ブラックムービーの傑作『ニュー・ジャック・シティ』を思ひ出しました。やはりアントワン・フークア、黒人だけあつて、ブラックムービーの系譜もひいてゐます。
主演はマーク・ウォルバーグ。ジョン・シングルトン監督による、これまたブラックムービーの傑作『フォー・ブラザーズ』でも主演だつたウォルバーグ。どうにも黒人たちに愛されてゐる様です。確かにはまり役。素晴らしかつたです。
何度も言ふ様ですが、この映画は優れた暴き系の映画です。故に卓見に満ちた台詞が多いのですが、最後にひとつだけ、私の気に入つたやつを引用(と言つても、日本語による意訳ですが)しておきませう。
「この世は陰謀に満ちてゐる。だから、なんでも簡単に“分かつた”と思つてはならん。騙されるぞ」
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