器用手 [コータローくん]
コータローくん来店。すでに来店してゐたクラタニくんと手を合はせて、何事か語り合ふ。何を言つてるのかな?
「どつちが指が短いか、較べてたんですよ。ホラ、ぼくら指が短いでせう」
あ、ホントだ。でも、私も短いんだよ、ホラ。
「あー、確かに。器用手ですね」
キヨウテ? なにそれ。不器用な手、といふ意味?
「いや、読んで字のごとく、器用な手、といふ意味ですよ! 指が短い人は手先が器用なんです。言はれませんでした?」
ええー! 言はれないよ、そんなこと。逆、逆! 実際私は凄く不器用だし、周りからもさう言はれて育つた。
「ボクもさうですねー、指が短くて不器用です」
「あれ、クラタニくんまで。…さうかなー、ボクは『あんたは器用手や』と何度か言はれてますけど。それに、ボクの友達の女の子、凄く指が短いけど、凄く器用ですよ」
ええー!
「あ、それからT-ROOMのコヤマダさんも指が短いけど、凄く器用ですよ」
そら、コヤマダさんは器用だらうけど…、さうかー、指が短くても器用な人が居るのかー、それは斬新な視点だ。指が長いと絡まつてしまふ、とか、さういふ事かな。…ううーむ、もしかしたら、私が不器用なのは、小さい頃からの思ひ込みかもしれない。血液型性格判断みたいなもんかも。
「さうですよ。僕らはみんな、実は凄く器用なんですよ。指が短いから不器用なんて、ただの思ひ込みです!」
「さうですか! いやー、明日から人生が変はりさうだなー」
うーむ、複雑な気持ち…。
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