追悼JB [音楽]
雑誌「bmr」の今月号(3月号)で、JB特集をやつてゐました。JB、死んでしまひましたからね…。それは昨年の12月25日のこと。その時は私も驚き、周りでも結構騒がれてましたが、ま、個人的にはそこまでショックでもないかー、といふのが正直な感想でした。確かにまだまだ精力的に活動中でしたが、すでに齢は70を超え、最前線に居るとは言ひがたいポジションでしたので。そろそろかな、と。
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幸福なことに、私はJBの最盛期の最後の方に辛うじて間に合ひました。'84『UNITY』、'85『LIVING IN AMERICA』の頃で、JB自身もチャートを荒らしてましたし、ヒップホップの若い世代から絶対的な支持を集めてゐる頃でした。私も、JBのベスト盤なんか借りてきて、「ヒッミ!」「アマセッマシンナ!!」などと叫び踊つてゐたものです。つまりはその頃、JBはまだまだ現役バリバリだつた訳ですが、それでも私の意識の中ではJBはすでに御大。過去の偉い人が未だに頑張つてゐる、といふ感じで、もの凄く入れ込んでファンになる、といふ事はなかつたのです。だから、JBの訃報を聞いた時も、「あー、そーかー。JBもたうたう…ひとつの時代が終はつたな」と、些かクールに受け止めました。よー、頑張つたよなー、と賛嘆の念は抱きましたが(年間300本以上のライブをこなしながら、オリジナルアルバムだけで70枚以上制作ですよ! 凄い)。
ところで、JBの音楽と言へば、ブレイクビーツの宝庫。特に初期のヒップホップはJBからサンプリングしまくつてゐて、JBがヒップホップの生みの親、と言はれるのも納得できる話です。私も、JBの音楽そのものより、サンプリングされた形での方に親しんできたかもしれません。そんな私にとつて、特に思ひ出深いのが“FUNKY DRUMMER"。これはもうブレイクビーツの定番中の定番な訳ですが、実を言ふと高校生時代の私は、この“FUNKY DRUMMER"=ブレイクビーツ、と勘違ひしてゐたのです。ブレイクビーツとは、既成曲の(ヒップホップ的にノリのいい)ブレイクパートを繋いでビートを作つたものの事です。だから色んな曲のブレイクパートを使つて、色んなブレイクビーツができる訳ですが、高校時代の私は、“FUNKY DRUMMER"のブレイクパートを使つて作られたビート=ブレイクビーツ、と思ひ込んでゐたんですねー。うーん、いやー、当時は今ほど情報が溢れてませんでしたからねー。こんな勘違ひはザラでした、はは。
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それはともかく、この“FUNKY DRUMMER"のブレイクビーツ、ホントにカッコいいんです! クールでゐて、ズンズンとソウルに沁みてきて、身体中がジワーッと燃え上がつてくる感じ。これにカッコいいラップが乗れば、ぶッ飛びますよ、宇宙の果てまで。もう、当時の私は、どうやつたらこんなカッコいいビートが作れるのか、これが出来たのは奇跡に違ひない! と真剣に思ひ込み、頭の中で、ドゥンドゥン、チャ、ドゥチャドゥチャ! と、終日ループさせてゐました。あの時に、かなりの数の脳細胞が破壊されたと思ひます。学校の勉強もやらなくなつたし。人生を踏み外したのも、あのブレイクビーツのせゐかもしれないな…。
と、JBが案外私の人生に深く関はつてゐたかもしれない事に思ひ当り、ビックリした所で、JBの冥福を祈りたいと思ひます。
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ちなみに、“FUNKY DRUMMER"はシングルのみの発売曲だつたのですが、今は“In The Jungle Groove"に収録。そして、数ある“FUNKY DRUMMER"のブレイクビーツを使つたヒップホップ曲の中で私の最もお気に入りは、ERIC B.& RAKIMの“LYRICS OF FURY"(アルバム『FOLLOW THE LEADER』収録)です。
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