憂国饅頭 [憂国, ハッシーさん]
ハッシー & YO!ちやん来店。「キシシシシ! 先日は憂国饅頭、御馳走さまでした」と、ハッシーが言ふ。
憂国饅頭? そんなケッタイなもの、御馳走したかなぁ…ッて、それ慶祝饅頭のことだらう!
「え、さうなんですか! 意味が違ふんですか?」
全然違ふよ。“憂国”とは“国を憂へること”、つまり国のことを心配することぢやないか。“慶祝”は目出たいことを祝ふといふ意味。全く違ふだらう。
「はー、それぢや、“ユーコクレッシ”ッて、どういふ意味ですか?」
ユーコクレッシ? …憂国烈士、かな。それは、国の事を憂へて、命をかけて働いた人のことだらう。でも、なんでそんな言葉を知つてるんだ、ハッシー。
「いや、暴走族時代に、仲間で特攻服に“憂国烈士”と入れてる奴が居たんですよ。それで。」
なるほど。で、国を憂へて何をしてたんだ?
「えー、バイクで暴走したり、盗んできたバイクを燃やしたり」
チットも国の事を憂へてないやん!
「いやいやいや、みんな意味は分からずやつてたんです。…あ、あ、それなら、あれは何ですか? えー、あれ、あれ、えーと…七、七…国とか、なんとか」
七生報国…だな。
「さうさう! それです、それ! それもいれてる奴が居たんですけど、どういふ意味ですか?」
なんか、説明するの嫌だけど…。ま、要するに、7回生まれ変はつても国のために尽しますよー、といふ意味。ちなみに“7”には特に意味はないから。だから、何度生まれ変はつても国のために尽くす、といふ意味だな。先の大戦中によく使はれたけど、もとは楠公さんの言葉だな。
「うわ、カッコいいですねー! キシシシシ!」
…あんな、ハッシー、せめて自分の服に縫ひ込む言葉ぐらゐ、調べとけよ。確かハッシーも“天照大皇神”と特攻服にいれながら、意味は知らなかつたんだよな。
「ええ、それもここに来て教へて貰ひ、ホンマありがたいと思つてます」
でも、なんでまたそんな知らない言葉を選んだんだ?
「それは、ヤクザの襲名式とかで、“天照大皇神”と書いた垂れ幕が下がつてるんですよ、よく。それを見て、これはムッチャ悪い意味に違ひない、と思つて…」
全然悪い意味と違ふわ!
…うーむ、憂国饅頭が食べたい。
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