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2007年01月16日(Tue)

歌舞伎座 歌舞伎

 歌舞伎座にて、『壽初春大歌舞伎』を観劇しました。歌舞伎座? …と、一瞬疑問に思はれたあなた。さう、その通りです。歌舞伎座とは、東京は銀座にある、あの歌舞伎座です。つまり、わざわざ東京までやつて来てしまつた、といふ訳なのですねー。うーん、こらまた。

 ま、昨年に引き続き、今年もオパールの正月休みを利用して東京までやつて来たのですが、昨年は毎日の様に色んな人に会ひ、それで時間が潰れてしまひましたので、今年は誰とも会はない事にしました。トモコと二人で東京をブラリとする、と。故に、東京に来たら必ず連絡する様に! と、強く言はれてゐた可能涼介にも連絡せず。許せ、可能よ。色々とややこしいのだよ、実際。

 閑話休題。初めての歌舞伎座は、京都南座よりも大阪松竹座よりも大きく、興奮度もアップ。さらに、なんと! 今回は我々は桟敷席にて観劇なのです!

 桟敷席。それは一般席から厳然と区別された特別席。入り口も専用の個室仕立てですし、桟敷席でしか食せない桟敷弁当などもあります。歌舞伎に10年も20年も通つてゐる人が「いつかは桟敷で見たい」といふ特別な席。そんな所で我々の様な素人が見てよいものなのだらうか? と、いふ疑問が沸かないでもなかつたのですが、根がミーハーで物事をオプションで楽しんでしまふ我々は、わーい桟敷! 桟敷! と、しごく軽い(でもウキウキした)気分で桟敷席のチケットをとつてしまつたのでした。わーい、桟敷! 桟敷!

 で、この桟敷席、客席の両端にズラーッとある訳でして、我々の桟敷はその一番前です。つまり客席の端の一番前、といふ事になるのですが、果たしてここ、舞台がちやんと見えるのか? といふ疑問が席に着いた時に沸きました。かなーり、舞台と平行なのです。その危惧の通り、いまひとつ舞台の見えにくい席であつたのです! ガガーン!

 私は今回の公演では玉三郎を初めて生で見られる、といふのを楽しみにしてゐました。外題は(あ、東京だから“名題”かな)『金閣寺』。玉三郎は雪姫の役です。さて、雪姫が出て来ました。…と、浄瑠璃・三味線の人たちの影になつて玉三郎が見えない! 声はすれど姿は見えず、といふ奴です。あらー、と思つたのですが、ま、よい。そのうち場所を移動するだらう、と泰然と構へてゐたら、案の定、場所を移動してくれました。…お、玉三郎が! …と、思つた瞬間、玉三郎の姿は舞台装置である家の柱の影に隠れてしまひました! そこで、しばらく留まります。うーむ、もう少し、もう少し、横へ! と、激しく念をかけてをりますと、あら嬉や、玉三郎が横へ移動…(ここらは歌舞伎調で)…あーいー…って、今度は突ッ立ッてる他の登場人物の影に隠れてしまひました! なんぢやそらー!!

 その他にも、これは全く見えなかつたので想像で述べますが、この芝居には倶利伽羅丸といふ名剣が出て来るのです。で、この名剣、水に写せば龍が現れるといふ代物で、これを松本幸四郎演じる松永大膳が、我々から全く見えない位置にある滝に写し、外し、写し、といふ動作を繰り返し、音楽が鳴り響いて玉三郎がアレーと驚く、といふ場面があつたのですが、あれ、多分滝に龍が現れてゐたんでせうね…。見たかつたなァ。

 ついでにもうひとつ、聞いていただけますか。桟敷席といふのは、掘りごたつの様になつてゐるのですが、その足を入れる部分にですねェ、何故か私の所だけ大きな異物があつて、足を入れるといふより、足を捩じ込む、といふ形になつてゐたのです。捩じ込んだ後も、足が不自然な形で固定されてゐるので、すぐに痺れがきます。堪らず足を引ッこ抜くのですが、桟敷席自体狭いので胡座をかく訳にもいかず、足を立てればみつとも無いし、で、結構4時間が苦痛でした。ううーむ、なんだあの異物は。あれ、問題ぢやないかなァ。

 と、まァ、こんな次第で、なるほど、だから歌舞伎通の人たちは「憧れ」とか言ひながら桟敷席なんかでは観劇しないのだなー、と勝手に得心したのでした。

 さて、玉三郎です。正直言つて、最初に玉三郎をシッカと見た時は、一寸ガッカリしました。私のイメージの中にある玉三郎は、昔テレビで見た劇中の玉三郎ですから、さすがに今の玉三郎は御齢を召してゐて…、若くてキレイな娘さん、といふ感じはしなかつたのです。ああ、やはり仕方ないか、と軽く失望しながら観劇してゐたのですが、芝居が進むにつれてグイグイと引き込まれ、雪姫が縛り上げられてからの独壇場では、猛烈に感動してしまひました。月並みな言ひ方ですが、やはりこれは藝の力なんでせうねェ。玉三郎素晴らしいです!

 他にも、勘三郎の鏡獅子など見所たくさん。堪能、満腹いたしました。ホント、東京までやつて来てよかつたです。

Comments

投稿者 可能涼介 : 2007年01月26日 00:26

いやいや。こちらは、日々15時間ほど働いていて、会う時間なかったとおもう。それ以外は時評のための読書だし。まあ、水木しげるとつげ義春と「nana]と舞城のまち、調布にもきてください。

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