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2006年12月21日(Thu)

顔見世興行 歌舞伎

 南座に顔見世興行を観に行つてきました。今年の顔見世は、十八代目中村勘三郎襲名披露といふ事で、随分と騒がれた様です。実は、私は今回が歌舞伎初体験。別に勘九郎のファンといふ訳でもないのですが、昔から歌舞伎は観たいなー、と思つてゐて、思つてゐるばかりでは何時までたつても埒があかないので、そろそろ観に行くか! と、なつたのと、たまたま勘三郎襲名披露が重なつた、といふ次第です。

 さて、興行の内容についてですが、思ふ事は色々とあつたものの、私の様な初めて歌舞伎を観るものがゴチャゴチャ言つても仕方が無いので、それについては何も言ひません。ただ、初めて歌舞伎に行つた人間として、歌舞伎興行そのものの大まかな感想を、少し述べたいと思ひます。

 まづ、考へてゐたのより随分と忙しないな、と思ひました。芝居見物と言へば、昔は大店のお嬢さんなどが三日もかけて楽しんだもの。ッて、私は大店のお嬢さんなどではなく三階席でチンマリ観てゐる訳ですから、こんな比較は無意味ですが、それでもやはり芝居見物はゆつたりと贅沢な遊び、といふ先入観があつたのです。それが、高島屋の地下でお弁当を買ひ(南座に行くお客さんでごッた返してをりました)、勇んで南座に行つたものの、なんと! 劇場に入れない。16時開演なのに、15時半を廻つても劇場に入る事ができず、みんな寒空の下で震へてゐます。やつと開場したのが、15時38分頃。ドッと劇場に雪崩れ込み、席を探し当てて売店やお茶席、トイレの位置を確認してゐたら、16時丁度にいきなり始まつてしまひました。

 で、休憩(いはゆる幕間)があるのですが、これが短い。基本、10分で、トイレに行くのがやつとです。30分の長い奴もあるのですが、みんなその間に必死でお弁当をかき込みます。そして終劇とともにサッサと追ひ出されるので、アレヨアレヨといふ間でした。お茶席なんかでユックリする事なんか思ひもよりません。なんか、もう少しユッタリできないもんでせうか。

 とはいへ、これも私が歌舞伎初体験で馴れてゐないせゐかもしれません。馴れれば、ひとつくらゐ演目を抜かして、その間にお茶したりするのでせうね。多分。

 次に、人間工学といふ言葉を足下に踏みにじるかの様な蛮勇を示す、三階席の作りに印象を受けました。狭いのは勿論のこと、恐ろしく急斜面なのです。事前にベッチから「よくお婆さんが遭難してるよ」と教へられてゐたのですが、それを聞いて「なにを大袈裟な」と思つてゐた自分自身の浅はかさを思ひしらされました。お婆さんが遭難してゐるのは見かけなかつたのですが、何人もお嬢さん方が階段上から落下してくるのに遭遇し、肝を冷やしました。歌舞伎を観るのも命がけです。

 さらに印象に残つたものとしては、イヤホンガイドがあります。これは私の様な素人には必需品、と言へるでせう。歌舞伎の説明を適宜してくれるのです。そら、ま、話の内容くらゐは、この齢になれば大体分かつてゐるので、ストーリーの説明なんかは(個人的には)どちらでも良かつたのですが、まづ、登場してくる役者さんをいちいち説明してくれるのが嬉しい。また、様々な約束事も教へてくれるし、動作の説明(娘道成寺で、花子と押し戻しが立ち回りを演じるのですが、その時に、棒の先で「大入」と描いてゐる、など)も丁寧で、非常に勉強になりました。

 そんなこんなで、その便利さに大いに感動したイヤホンガイドなのですが、首を捻るところもありました。様々な人が入れ替はりで解説をしてくれる、このイヤホンガイド。中には非常に口が上手い人がゐて、随所で面白い事を言つて笑はせてくれるのです。すると、場内がドッと沸くのですが(意外と使用者が多いのですね)、舞台上では笑ひと関係なく劇が進行中だつたりする訳です。これ、役者の人はビックリしないのでせうか? だつて、いきなり(劇に関係なく)お客さんが笑ふんですよ。それとも、もう馴れてゐるのかな。まだまだ歌舞伎は分からない事だらけです。

 南座を出るとスッカリ夜でした。そこには祇園が、我々を呼んでゐたりするのでした。

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