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2014年10月09日(Thu)

10月1日〜10月8日 etc

楳図かずお

只今、楳図かずおの初監督作品「MOTHER」が絶賛公開中ですが、これは10月の強制起訴映画なので、映画そのものについては、またレビューコーナーで語ります。
が、それはともかく、この作品、「14歳」以来19年振りの楳図かずおの新作といふ事でもあり、ファンとしては感涙に咽ぶしかありません。にしても19年振り・・・そんなに経つのか。90年代ぐらゐまでは、楳図かずおは戦後日本を代表する天才漫画家=アーティストである、といふのは自明のコンセンサスだったけれど、今の若い人にとってはどーなんだろ。もしかして、あまり知らないとか・・・と思ふと、気が遠くなりさうです。

先日もオーソンと喋ってゐたら、「14歳」「神の左手悪魔の右手」を愛読してゐたといふオーソンが、「わたしは真悟」を知らんかった・・・我々の世代ならあり得ん!オーソンは私より10歳若いからなぁ。辛うじて「14歳」がリアルタイムだと。といふ事は、オーソンより若い世代は想像を絶する事態に・・・。
むろん、オーソンには早速「わたしは真悟」を貸しましたよ。これ知らなかったら、話しにならないでせう。
私の楳図かずお史は、幼い頃には数々の恐怖マンガでトラウマを受け、長じてからは「まことちゃん」や「漂流教室」でその天才振りに酔ひ痴れ、スピリッツ三部作では、歴史の誕生に立ち会ってゐるといふ恍惚に震え続けた・・・といふものです。
今回の映画を切っ掛けに、若い人たちがもっと楳図かずおを読む様になればいいのになぁ。

悪童日記

ヤーノシュ・サーシュ監督によりアゴタ・クリストフの小説「悪童日記」が映画化されましたね。さうか、たうたうこの時が来たか・・・と思ひ、私は何年も前に買ったまま、未読の本の山の中に埋もれてゐる「悪童日記」を必死に探し当てました。うーむ、カバーも付けっぱなしだった。
で、早速読んでみたのです。
・・・やー、評判通り、メッチャ面白いわ、これ。主人公は双子の少年なのですが、この二人がつけた日記・・・といった体裁で書かれた小説。まづ、この双子が凄く魅力的。決して権威や他人に屈せず、かといって自閉するのではなく、自らで考へ、自らを鍛へ、自らの手で人生を切り開いていく・・・昔の私なら「これぞリバタリや!」と叫んだ事でせう。
次にこの小説の形式ですが、先程も書いた様に、この双子がつけた日記、といった形をとってゐるのです。が、どうやって二人で書いたのか、がイマイチ分からない。だって、ひとつの文章を二人で書くのは不可能・・・とまでは言はないが、えらく困難でせう。交互に書いたのか?それとも書くのはどちらか一人に決まってゐたのか?主語は「ぼくらは・・・」で必ず始まってゐるけれど。それに、途中で自分たちの文章の書き方まで示してゐる。
さりげないが、メタな構造が仕込まれてゐて、読んでゐてしばしばクラクラします。故に、ラストの数行は衝撃的。うーむ、やられた。
これ、どうやって映画化するつもりだろ。この感覚、出せるのかな?
とにかく、続編である「ふたりの証拠」「第三の嘘」を早く買ひに行かねば。

皆既月食

10月8日18時頃、ハッシーが帰った後の客の居ない静かなオパールで、私が半分居眠りをしかけてゐたら、突然、トモコのタロットの師であるミヤオカ先生がやって来られました。たまたま用事があって京都に来たので、ついでに寄ってみた、とのこと。私とミヤオカ先生は、「涼宮はるひ」の話などをして盛り上がったのですが、そこにトモコから電話。「今、建仁寺に居るんだけど、皆既月食が凄いから観にきたら?先生も連れて」そこで私とミヤオカ先生は連れ立って建仁寺に行き、トモコと合流して建仁寺で月を鑑賞。オパールに帰ってきてからも、実は窓から月が見える事が分かり、三人で窓の前に座って皆既月食を見続けました。
「タロットの月のカードは、魂の暗い夜なんです」
「グルジェフによると、人間は月の食料なんですよね」
「月にはキュウべえが住んでゐますから」
「ダークサイドオブザムーン!」
上部に僅かに残ってゐた光がフッと消え、そこには真っ赤な月が浮かんでゐました。
皆既月食凄かったわよー、と言ひながら、何人かお客さんが入ってきました。中にはミヤサカさんも混じってゐます。
さういへば、本日はトモコの誕生日なのであった。10月8日。10+8=18。タロットの18番は“月”。魂の暗い夜。皆既月食によって赤い玉となる。赤い玉はキュウべえの眼。我々はみな、キュウべえの赤い眼によって監視される幽閉者なのだ。目覚めて、ソウルジェムを破らなければ、我々は死んでしまう。我々は雛鳥、ソウルジェムは世界。世界を革命せよ!
「トモコさん、誕生日おめでたうございます」
「ありがたう。でも私、いつ産まれたのかしら」
「うーん、トモコさんは、涼宮はるひなのかもしれませんねぇ」
え?なら私はキョン?・・・それは御免だー。

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