「ted」祭り [映画]
観たことによって祭りが引き起こされる映画のある年は幸せだ。
今まででも、「セシル・B/ザ・シネマウォーズ」「デスプルーフ」「グラントリノ」と、色々そんな映画があった訳だけれど、一昨年は何と言っても「アジョシ」。アジョシ〜、アジョシ〜で半年暮〜ら〜すっチュングンドー・・・てな感じだったのだけれど、昨年はそんな映画がなく、寂しい思ひをした。敢ていふなら、ヴァルハラ、か・・・。(ここで「移民の歌」が流れる)
ところが今年は、なんとも幸せな事に、新年早々そんな映画が現れて、オパールでは大騒ぎ。その映画とは・・・「ted」です!!!
ぬいぐるみが主人公で、そのぬいぐるみが可愛く、且つハッパをキメたり、お酒を飲んだり、パーティで騒いだり、ナスティーな言動をしたりするなんて・・・それだけで最高です。人形が社長と店長を務めるオパールでは、祭りになって当然でせう。
祭りで浮かれるポー社長。
むろんこの映画はそれだけでなく、話としてもよくできてゐるんですが、それはいづれ書く予定のレビューの方に廻して、ここでは別の事を書きます。
実はこの映画、日本で予想外の異例の大ヒットを飛ばしてゐるのです!つまり、日本中が「ted」祭りを敢行中な訳で、これはちょっとした驚きです。だって、この手のアメリカのコメディー映画って、日本ではまづ転けるもんですから。だから私も、早々と公開を打ち切られる前に、と、公開三日目に駆けつけたのですが・・・なんと満席!パンフレットは売り切れ!なんだそれはー!と、普段はほぼ客席ガラガラの状態でしか映画を観ない私は、些かびびったのでした。
ま、しかし、それはそれで慶賀すべき事です。滑り出しの興行成績が1位!との事ですが、2、3位の「レ・ミゼラブル」や「東京家族」なんて下らない映画をボコッた様で、とても気分がよい(どちらも観に行ったけど、酷かった。特に「東京家族」は許しがたい。tedにボコボコにして貰ひたい)。
このまま快進撃を続けて、日本中での祭りが続けばそれはそれで面白いなー、とも思ふのですが、とはいへ。ここまでヒットすると、そらたくさんの人々が観てる訳で、たくさんのtedに関するつぶやきが耳に入ってきます。と、あれ?それはちょっと違ふのでは?と思ふ事も多々あり、なんだかとても気になってしまふのです。
私が一番気になるのは、tedの事を“中年オヤジ”“オッサン”呼ばはりする声です。中身がオッサンのテディベア、とか。設定では確かにtedは30代半ば。しかし、今時30代が“オッサン”でせうか。まだ若造でせう。実際、tedの言動を観てゐても、オヤジっぽい所は微塵もありません。といふか、相棒のジョンも含めて、tedはいはゆる“ボンクラ”と呼ばれる種類のタイプであり、“ボンクラ”とは“年はとっても大人になりきれず、中身のガキっぽい人間”の事です。となれば、tedの中身は当然ガキといふ事であり、外側はティディベアなんだから、tedはまるでオヤジではないといふ事になります。そうでせう?
またtedの事を“エロ”呼ばはりする声もきかれますが、これも納得いかない。tedのどこがエロっぽい?そら女性とセックスしたり、娼婦を買ったりしますが、そんなの男だったら別に普通でせう。(娼婦を買ふのはちょっと特殊ですが、まぁ、その文化圏なら普通の事です)
tedが主に関心があるのは、ハッパをキメて映画やドラマを観ながらバカ笑ひすることや、パーティーで騒ぐ事です。セックスに対する関心は、どちらかといふと低い。ほんと、純粋で無邪気な・・・ボンクラ野郎です。
ted のいい所は、元セレブなのに捻くれた所がなく、無邪気で、清潔感がある所です。だから、下ネタを繰り出しても、いっそ清々しい。確かに、パンフレットには(あ、後日手に入れたのです)、「世をすねた毒舌の中年グマ」と書かれてゐますが、まぁ、パンフレットや宣伝で言ってる事なんていい加減ですからね。ほんと、映画ちゃんと観たの?ってな事がよくありますから。
tedは、別にセレブだった頃に対する郷愁はありませんし、今のジョンとのダラダラした生活に満足しきってゐます。さういった上昇志向のない所が“ボンクラ”の所以なのですが、でも、そこが魅力的なのです。だって、ぬいぐるみなんですから。上昇志向とは無縁でせう。
うちのポー社長も、上昇志向なんかとは無縁に、毎日を楽しく遊び暮らしてをります。我々がぬいぐるみに学ぶ事は多いですね。
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