京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > 元店主の日記 >

サブメニュー

検索


月別の過去記事


2011年10月17日(Mon)

アジョシ 映画

只今、我が家では「アジョシ」祭り絶賛開催中です!!!
やー、「アジョシ」最高。ウォンビン主演、イ・ジョンボム監督で、昨年の韓国No.1ヒットの映画。日本では何故かあんまりやってなくて、おかげで苦労したんだけれど、2回も観てしまひました。梅田のブルクと京都のT-JOYで。そればかりではなく、家では毎晩、トモコがYOU TUBEで「アジョシ」のビハインドシーンや関連映像、映画そのもののベストシーンなんかを観てゐて、私もそれを横から観てるもんだから、もう「アジョシ」漬け。さらに、サントラも購入して終始家ではそれが流れ、それをバックに「アジョシ」についてその魅力の分析、隠された意味の探求、ミーハートークなどを繰り広げて、後は二人で(いや、ポー社長たちも交へてみんなで)映画の各場面を再現する、といふ「アジョシ」ごっこに興じる日々。全くもって祭りだ!祭りだ!ワッショイ!ワッショイ!・・・てな感じになってゐるのでありました。
いやー、こんなに盛り上がる映画は久しぶりだ。「デス・プルーフ」以来ぢゃないか?

この映画についてトモコともう何十時間も語り合ったので、書く事は色々とあります。けれど、メンドクサイので書きません。そもそも書ききれない!
が、ひとつだけ、我々の結論めいた事を書いておきませう。それは、この映画は「少女映画」だ、といふ事です。ところで、「少女映画」とは何か?
私の定義によれば、“少女が世界と対峙して闘ふ映画”といふ事になりますが、トモコの定義によれば、”少女が不細工な男をボコボコにする映画”といふ事になります。まぁ、確かに。で、「アジョシ」は最近稀に見る少女映画の傑作である!といふのが我々の考へなのです。
むろん、ウォンビンが少女なんですよ。アジョシ、とはオッサンといふ意味で、韓国でも「ウォンビンみたいな若くてカッコいい人間がアジョシの訳ないやろ!」といふ声があがってゐるみたいですが、そんなの甘い甘い。ウォンビン=テシクはオッサンどころか、少女なのです。
故に、誰にもなつかず、友だちも居ないソミが、テシクにだけはなつくのです。同類だから。それはテシクにしても同じで、彼がソミを助けに行くのは、同じ少女同士だからです。
ここで一言いっておきますが、“テシクがソミを助けに行くのは、自分の死んでしまった子供の面影をソミにみてゐるから”といふ解釈をする人がゐると思ふのです。まぁ、映画はさうミスリードする様にも作られてますから。が、ここで大きな声で断言しますが、その解釈は間違ひです!「アジョシ」はそんなオセンチな映画ぢゃないんだよ!その根拠を幾つか述べませう。

まづ、テシクの奥さんが殺された時、赤ちゃんはまだ母体の中、産まれてもゐません。この段階で、子供に愛情が沸く男親はまづ居ません。それは不自然です。男親は、子供が産まれてから何年も掛けて愛情を獲得していくものでせう。
次にソミの年齢の問題。テシクの奥さんが殺された事件は、あの時点から3〜4年程前だと考へられます。となれば、もしテシクの赤ちゃんが生きてゐたら、3〜4歳のはず。でもソミは10歳ぐらゐ。ソミに自分の子供の面影を見るのは不自然です。
また、二人の会話の様子をみてゐても、(疑似)親子感はありません。例へば、最初のシーン、テシクはソミに冗談で「殺すぞ」と言ひます。まー、親子感覚があればさうは言はない。なにせ、ホントに自分の子供殺されてるんだから。自分自身も、仕事で人を殺す人間でもありますしね。二人の会話は、ある種対等な少女同士のものです。
そしてなにより、テシクのスーパークールな佇まひ。あれは少女のものです。親はクールに成り得ない。係累がなく(少女に親は居ませんよ!)ひとりで世界に対峙してゐるのが少女です。
テシクとソミを疑似親子として見るなんて、クールの対極です!

「アジョシ」は、少女が少女のために不細工な男どもを叩きのめす少女映画なのです。(「デス・プルーフ」の様にね!)
さらに、この映画には少年(=ラム・ロワン)も出て来て、少女との対比・対決が描かれるといふ・・・・・・あかん。少年についてまで書いてたら、ムチャクチャ長くなってしまふ。とりあへず、ここらでやめ!
要するに「アジョシ」は、(少女)映画史に残る大傑作である!といふ事です。

・・・やめ!とか言ひつつ、やっぱあと少しだけ・・・。実をいふと、私はウォンビンの顔は苦手なのです。あまりにジャニーズっつーか、メンズノンノっつーか・・・、はっきり言って、回想シーンの中のテシクはキモい・・・とさへ思ひます。
しかし!もしかしたらそれさへもわざとなんぢゃないか?と考へてしまひます。だって回想シーンの時代は、まだテシクは自分の特殊工作員といふ在り方に疑問も抱かず、奥さんともうすぐ産まれる子供も居て、なんかぬるーい幸せに酔ってゐる様にみえます。つまりテシクはまだ少女ではない。少女であるテシクはスーパークールでかっこいいですが、少女以前のテシクはキモい、と。これは正しい解釈でせう。だからわざとキモいテシクを演じたとしたら・・・、凄い役者だ、ウォンビン。
が、惜しむらくは、映画の最後の最後がよくない。一番最後のテシクの表情、あれは違ふ。間違ってます。あれは少女の表情ぢゃない!うーむ、惜しいなぁ、ウォンビン!

とはいへ、少女を演じるウォンビンは死ぬ程カッコいい!声がいい。低い!目の演技も凄い。スタイルも抜群。で、動きが美しい。完璧です。
この映画の凄い所は、逃げずに一から十まで徹底してカッコいいものを目指し、成功した所です。カッコいいものは難しい。ちょっとした事で、ダサかったり、イタかったり、してしまひます。その隘路を、ウォンビンは見事に駆け抜けた。少女と化して。
そしてなんと言っても、ラストの戦闘シーン。もう、震へました。ガクガクと。あまりにカッコ良くて。あれは凄い。あれは絶対に観るべきシーンです。あのシーンを観てない人はホント可哀相、とか勝手に憐れんで、だから絶対に観ろ!といふメールを出しまくって、少しだけ日本における「アジョシ」の動員数に貢献いたしました。ははは。

またこの映画、音楽がいいんだよなぁ・・・。

Comments

投稿者 不意罵 : 2011年12月06日 13:21

アジョシ考察、とても楽しく読ませていただきました。祭の様子など、まさに同じ状況で笑いました。我々は各国の字幕やトレーラーを考察したりもしています。アジョシごっこはもちろんです。
少女説はなかなかぶっ飛んでいて面白い。確かに、親子と見るのはナンセンスという気がしてきました。

もっと詳しい考察も拝見させていただきたいものです。私もサイトでアジョシ考察をしているのですが、なにぶんお仲間が少ないので。

我々はTジョイとシネ・リーブル梅田、塚口サンサン劇場で7回見ました。明日から新世界でも始まるようなので、8回目も行こうか考え中です。

それでは、通りすがりが失礼しましたー。

投稿者 元店主 : 2011年12月07日 04:33

不意罵さん こんにちは!

なんと7回も観られてをられるとは!素晴らしい。感服致しました。
サイトの方も覗かせていただきました。アジョシに対する熱い想ひが溢れてをり、こちらも思はず胸があつくなった次第です。
実は我が家では今、新たに「ジョージ・ハリスン祭り」が行はれてゐるのですが、不意罵さんのおかげで、アジョシ祭りが再燃しさうな勢ひです。(DVDも発売される様ですしね!)

ところで不意罵さんはクローネンバーグの「イースタン・プロミス」をご覧になられましたか?我々は「アジョシ」があの映画の影響を受けてゐるのでは、と邪推してゐます。まぁ、多少強引かもしれませんが、「レオン」の様な下らない映画(と私は考へます)の影響を受けてゐる、とか言はれるのが耐へられないので、この説を唱へてゐるのです。もし機会があれば、一度観てみて下さい。

また、京都に来る事などあられましたら、是非オパールにもお立ち寄り下さい。アジョシの話をしませう。

投稿者 不意罵 : 2012年05月25日 13:45

お久しぶりです。未だアジョシ熱の去っていない不意罵です。DVDを購入してからというもの何度も繰り返し見ているせいか、まだまだアジョシが熱いです。

先日ようやく「イースタン・プロミス」を見たので再びコメントさせていただきました。まず…ものすごく私のツボに大ヒットな映画でした…!それほど期待はせずに見たのですが、ニコライさんのかっこいいこと…!ヴィゴ・モーテンセンのほとばしる大人の色気にくらくらいたしました。

アジョシがこの映画に影響を受けているということ、それは大いに賛同いたします。キリルの、いいやつではないけれど根っからの悪人というわけでもなくどうしようもなく愛しい感じなど、ジョンソクに通じるところがありますし、マフィアの人々が、「職業がたまたま悪いことだった」とでもいうような、悪人だが家族は大切にする至極普通な感じが近いと思います。

ジョンボム監督はどうやら「好きなものをどんどん取り入れる」タイプの監督のようなので、他にもいろいろな作品の影響を受けているようですね。アクション面はボーンシリーズが目標だったというので見てみましたが、(映画全体はあまり好きではないものの)アクションは確かにアジョシに似ていましたし、「闇の子供たち」にも大きく影響されているようですね。パクリや二番煎じは好きではありませんが、リスペクトして自分の作品に取り入れようとする監督はすがすがしくて好感が持てます。

実は今京都に住んでおりまして、一度行ったのですが、残念ながら定休日でした。次は日にちを確認してから伺いたいと思います。

投稿者 元店主 : 2012年05月26日 10:23

おお、お久しぶりです。未だ「アジョシ」熱が沸騰中だとは、さすがですね!

「イースタン・プロミス」、気に入って貰へた様で良かったです。私も、クライマックスでのトルコ風呂での戦闘シーンとか、ラム・ノワンの取り出したナイフとかみて、わ、これ一緒やん!と、驚愕したものです。不意罵さんの言ふ様に、キャラクター的にも似た雰囲気を感じる人多し、ですしね。

私は、ウォン・ビンのルックスそのものはちょい苦手なのですが、ヴィゴ・モーテンセンはもうバッチリです!カッコ良過ぎ。彼が、またしても出演したクローネンバーグの新作「デンジャラス・メソッド」が日本公開される事を熱望してゐます。

オパール、来てくれたのですね。しかし、定休日だとは・・・失礼致しました。めげずに、また来て下さい。お待ちしてをります。

コメントしてください





※迷惑コメント防止のため、日本語全角の句読点(、。)、ひらがなを加えてください。お手数をおかけします。


※投稿ボタンの二度押しにご注意ください(少し、時間がかかります)。



ページトップ