トゥルーグリット [映画]
映画強制起訴シリーズ。3月の作品は「トゥルーグリット」。コーエン兄弟監督の作品です。
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- 元店主
- ・・・・・・
- マツヤマ
- ・・・・・・
- ヤマネ
- ・・・・・・。あれ?なんで二人とも黙ってるんですか?一体どうだったんですか、この映画?
- 元店主
- いやぁ・・・何といふか、面白くない、訳ではない、んだけれど、かと言って、素直にその、何といふか・・・
- マツヤマ
- まぁ、そこそこ楽しめたよな。楽しめたんだけどさ、やっぱ、うん、まぁ、なぁ・・・
- ヤマネ
- あー!なんか、はっきりしませんねー!二人とも!東電の記者会見ぢゃあるまいし。はっきり言って下さいよ、はっきりと!
- マツヤマ
- さういふヤマネくんはどうだったんだ?
- ヤマネ
- ボクですか?ボクはねー、もー、ほっこり!って感じでした。手堅い。手堅過ぎる。余裕綽々、手抜き満載で、気楽に撮ったフィルムなんだなー、と思ひました!
- 元店主
- なるほど。私は、正直、どこが面白いかイマイチ分からなかったんだよね。いや、なんか、面白さう、今にも面白くなりさう〜、で、引っ張って引っ張って観てたら、面白さが分かる前に映画が終はってしまった、といふ感じ。
- マツヤマ
- でもさ、コーエン兄弟って、いつもそんな感じぢやない?オレにとって、コーエン兄弟の映画は、画面もかっこいいし、話もそこそこ面白いんだけど、何も残らない。一月もすればどんな映画だったかも全く覚えてない、って感じなんだが
- ヤマネ
- えー!さうですかー!『ビックリボウスキー』最高ぢやないですかー!『ノーカントリー』とか
- マツヤマ
- 実はオレ、どちらもよく覚えてないんだよね、その映画。印象薄い。今となっては、どうでもいい映画だな。ま、オレ的には『オー!ブラザー』が一番マシって感じか
- ヤマネ
- うっそー!ボクは『オー!ブラザー』はイマイチです!マツヤマさん、趣味悪いですよ!
- マツヤマ
- ジブリファンの奴から、そんなこと言はれたくないね
- 元店主
- まぁまぁ、二人とも。・・・私が気になってるのは、この映画、アメリカで大ヒットしてるらしいといふこと。コーエン兄弟作品中で、もっともヒットしてるらしい。しかも、評論家筋からも大絶賛、らしい
- マツヤマ
- う〜ん、理解できないなぁ。どこらがそんなに面白いんだ?西部劇といふ事もあるし、オレたち日本人には理解できない“何か”があるのか?
- ヤマネ
- さういへばボク、昔、『ダンス・ウィズ・ウルブス』をLAで観たんですよ。さうしたら、もう、凄い盛り上がりで。みんな、わーわー騒いでて。『こ、これがアメリカだぁー』とか泣き叫ぶオッサンとか居て、またみんながそのオッサンに拍手したりして。なんか・・・違ふな、と。ちなみに、ボクはチットも面白くなかったです、『ダンス・ウィズ・ウルブス』
- 元店主
- むむむー、やっぱ分からん!この映画、少女が自らの意志でガンマンを雇って父の敵を討つ復讐ものだし、その仲間3人の息が全くあってない所とか、復讐を遂げた後、そのまま3人とも一生会はないといふ設定とか、面白さうなところ満載なのに。さらに、映像もタイトでなかなかカッコいいし・・・
- ヤマネ
- 女の子が馬で川を渡るシーンとか、最後、ジェフ・ブリッジスが女の子を運ぶために馬で真夜中の荒野を突っ走るシーン、あそこで、昼間に倒した敵を馬上から捉えるシーンとか・・・、星空とかもキレイだったし、カッコいいシーン満載ぢゃないですか!
- 元店主
- さう、さうなんだけど、でも、だったら何故、ここまで乗り切れないのか。そこが、分からん。・・・なんといふか、ヌルい、んだよねー。『ノーカントリー』であそこまで緊迫した、現代的な話を撮ったのに、なんで今さらこんな牧歌的といふか、ヌルい話を撮ったのか?なぜ、コーマック・マッカーシーからチャールズ・ポーティスなのか。・・・って、チャールズ・ポーティスとかよく知らないから何ともいへないんだけど
- ヤマネ
- 西部劇撮りたいなら、同じコーマック・マッカーシーの『ブラッド・メリディアン』にすれば良かったのにね!
- マツヤマ
- いや、コーエン兄弟は“同じ事はやりたくない”って言ってるから、それは無理だらう。・・・オレが気になったのは、主人公の女の子が凄く偉さうで差別的にみえたこと。基本的に人を見下してる、といふか。
- ヤマネ
- えー、でも、あれは一般的に“健気”とか“少女なのに立派”とかなるんぢゃないですか。“トゥルーグリット=真の勇者”って、彼女の事でせう?
- マツヤマ
- まぁ、さうなんだらうけど、オレにはそんな風に見えなかったよ、ちっとも。奴隷とか使ふ事に何の疑問も持ってない、小金を持った牧場主の娘ッ子、といふ感じ。差別意識ありあり。あの娘にアメリカ人が共感を感じて、この映画が大ヒットしてるんだとしたら、かなり問題だと思ふがなぁ。ヤバいぞ、日本。このまま、アメリカに操られて、中国にぶつけられるかも・・・
- 元店主
- 私も、うっすらそんな感じは抱きました。この映画、イーストウッドの『許されざる者』と並べられて語られてる様なんですが、全く正反対の映画やん!と
- ヤマネ
- 確かにボクも、最後のシーンではビックリしました。あの娘が大きくなって、ジェフ・ブリッジスを尋ねて行くんですが、すでに死んでゐた。その事を教へてくれた親切なオジサンに、『座ってろ、クソが!』とか罵倒するんですよ!い、いきなりなに言ってるねん、オバハン!って
- 元店主
- でもそこで、きっとアメリカ人は拍手喝采なんだよ、きっと
- マツヤマ
- 『こ、これがアメリカだー!』とか泣き叫ぶオッサンが居たりしてな
- ヤマネ
- あーん!なんかヤな感じー!・・・でも、やっぱボクはけっこうこの映画好きかなー。星空のキレイな映画って、好きなんです。・・・もしかして、スピルバーグのおかげ?
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4月の強制起訴作品はジャック・ブラック主演の「ガリバー旅行記」です。京都では4月15日から上映でーす。
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