京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > 元店主の日記 >

サブメニュー

検索


月別の過去記事


2010年09月25日(Sat)

瀬戸内国際芸術祭 2010 アート

今年の夏は瀬戸内が熱い!!!・・・・・・って、今年の夏は日本全国どこでも暑かったやん!といふ突っ込みが入りさうですが、まぁ、その通り。どこでも暑かった。且つ、熱かった。さぞかし、それぞれが各地で勝手に様々な事で熱く盛り上がってゐた事でせう。
そんな中、私は個人的に「瀬戸内国際芸術祭2010」に注目してゐました。が、なにせ暑過ぎて、完全にバテバテで、どこかに遊びに出かける、といふ発想自体が溶けてしまってゐたのですが、やっとこさでチョイ涼しくなったが故、行ってしまふか、とフッと思ひたち、突然の事ながら行って参りました。

「瀬戸内国際芸術祭2010」とは、瀬戸内海の7つの島と高松で行はれてゐる現代芸術の祭典です。“現代芸術の島”としてすっかり定着した感のある直島の成功に刺激を受けて企画された一種の村おこしではないか、と思はれます。だから、感触としては、現代芸術の作品を見て廻るといふより、作品にかこつけて島を見て廻る、といふのが主眼ではないか、と私は思ひ、主にそのつもりで出かけたのです。
作品なんかそっちのけで、瀬戸内海の小島の美しい自然を堪能してこよう・・・。
が、事はなかなか思った通りにはすすまないものなのでした。

まづ、それぞれの島はフェリーで行き来するのですが、このフェリーの本数が少ない。いや、これでも増便してゐるみたいですが、それでも全然対応しきれてゐないみたいで、私とトモコの行った平日ならまだともかく、週末などお客さんが乗り切れなくて、島に取り残され、宿にとまれない、帰りの電車に間に合はない、つーか帰れない!といった悲劇が勃発してゐる様です。
また、少し大きな島になればバスで移動するのですが、この本数も少ない。だから、結構綿密に計画を立て、それに沿って厳密に行動しないと、なかなか上手く島を廻れない、といふ次第なのです。
私やトモコが、鄙びた美しい風景に見蕩れ、神さびた神社に陶然として、あーもう少しここに居たい、或は、あそこまで行ってみたい、と熱望したとしても、今ここで寄り道したら帰れないよ、または、次の作品見られないよ、どうする?ってな事になる訳で、うーん、やっぱクリスチャン・ボルタンスキーは見ときたいし・・・とかなって、泣く泣く神社を諦め、作品まで辿り着き、その下らなさに「判断を誤った!」と慟哭する(ボルタンスキー、下らな過ぎ!)・・・といった悲劇が繰り返されたのでした。
うーむ、難しいものよのぉ。

むろん、良かった作品もあります(当たり前か)。
我々は女木島、男木島、豊島、の三島を廻ったのですが、その中で良かったもの。
まづ、森万里子の「トムナフーリ」。はっきり言って、私は森万里子の事を多少バカにしてゐたのですが(森ビルの娘だらう?とか。・・・なんたる偏見!)、これは素晴らしかった。なんといっても場所がいい。森の中を、沢ガニが這ってる様な道らしきものを辿って10分ほど歩くと、突如開ける沼。まるで夢の中に出て来さうな素敵な沼です。その沼の真ん中に結構大きなガラスの物体が立ってゐる。その物体はスーパーカミオカンデとコンピューターを介して繋がってゐるらしく、宇宙で超新星が爆発すると、その発する宇宙線をキャッチして光を放つ、といふ。
ま、昼間は周りが明る過ぎて光を発しても全く見えない訳ですが、それでも十分。かういふ場に居られるだけで幸せだ。今回のNo.1かも。

同じ様な意味で、青木野枝の「空の粒子/唐櫃」も素晴らしかった。これは神社の中に、鉄で出来た物体を設置したものですが、この神社がもー、凄い。山の裾野に傾斜を利用して建てられてゐて、弘法大師が開いたと言はれる霊泉がついてゐる。あたり一体に張る清冽な気も素晴らしく、この神社に来れただけでも良かった、と思はせられます。
作品も、神社の持つ雰囲気を壊すことなく、しっくり馴染んでゐて感心しました。(霊泉の噴出孔にある鉄板を刳り貫いて作品に使ってゐるため、神意に触れるのでは?といふ意見もある様ですが、私は問題ない、と判断しました)
気になった事もあります。我々は神社にゾッコンでしたので比較的長くそこに居たのですが、その間にたくさん訪れた若者達(基本的に、お客さんは若者が大半。たぶん、芸術系の学校の生徒たちではないか)のうち、誰一人として神社にお参りしない!君ら、ここは作品である前に神社だぞ。写真を撮るのはいいけど、その前にお参りしなさい!・・・と、まぁ、ちょっと愚痴ってしまひました。ったく、最近の若者は・・・(お、私も立派なオヤジになりつつあるな)。

その他にも松本秋則の「音の風景(瀬戸内編)」もグー。民家や馬小屋の中に、色んな音の出るオブジェを作って設置してあり、それらが様々な音を奏でてゐる、といふもの。こんなの大好き。
この「音の風景」は男木島にあるのですが、この男木島がまた良かった。小さな島で、ほとんど平地がなく、急勾配の中に迷路の様に家々と路地が配置されてゐる。少し高い所にある豊玉姫神社も神さびた雰囲気を出してゐて、そこから眺める島の風景も美しい。そんなラビリンンス中に、ま、どって事はない作品が、鏤められてゐるんだけど、さういった風情がまたいい。島そのものが作品、といふか、島と作品がほどよく溶け合ひ、調和してゐる感じ。私は島としては、この男木島を推します。私が推したからといって、なにがどうなる訳でもないけどね。

うむ、長くなったから、次回に続き、とするか。

Comments

投稿者 ワリイシ : 2010年09月28日 13:31

男木島。
ワタシたちが男木島を予定した日は火事で作品公開が中止になったんです。
小さな島のみなさんの事を考えると上陸すらも気がひけ、この日は女木島のみの鑑賞になりましたが、
反って時間にとらわれる事なくゆっくりと観て満足しました。

亡くなられた方、焼失した作品に黙祷。

投稿者 元店主 : 2010年09月29日 01:35

ニュースで見ました。びっくりしました。

まさか私が推したからではないだらうな・・・、などと、変な妄想に悩まされてしまひました。

私も黙祷を捧げます。

コメントしてください





※迷惑コメント防止のため、日本語全角の句読点(、。)、ひらがなを加えてください。お手数をおかけします。


※投稿ボタンの二度押しにご注意ください(少し、時間がかかります)。



ページトップ