京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal：Home

これはサントリーとタワレコのコラボ企画で、白州・山崎・ボウモア・マッカランのどれかのハイボールを注文するとスクラッチカードが貰へ、それを擦って当りが出れば、C賞レコード型コースター、B賞ポータブルスピーカー、A賞モルトハイボールトライアルボックス（シングルモルトのミニボトル２本とグラスのセット）が貰へる！！！と、いふものです。
角ハイボールで当てたサントリーが、今度はシングルモルトのハイボールを広めようと、そしてウイスキーの奥深く濃密な世界に一人でも多くの人を誘おうとして始めた企画で、さすがサントリー、企業の販売戦略はかうでなくっちゃなりませんなー、と感心する事しきりなのですが、それはともかく、オパールでもその尻馬に乗ったれ！と、主に常連層をターゲットに祭りを推進してきたのです。

ところで、スクラッチカードといふのは不思議なもので、黙って擦る事ができない様です。

「いや、別にこんなのやりたい訳ぢゃないんだけどね」

「常連としては、まさか当りを出す訳にはいかないしねー」

「他のお客さんのために、当りを出る確率をあげておくわ」

・・・等々、なぜか言ひ訳めいた事を呟きながら擦るのです。
で、案の定“ハズレ”が出ると

「あー、良かった。これで常連としての務めを果たした！」

「良かった良かった。まさかこんな所で運を使ひ果たす訳にはいかないからねー」

と言って、グッと仰け反って天をみつめ、なんとなく虚ろな目のままで徐にハイボールを流し込むのです。

本日はマツヤマさんとソバさんが、カウンターで祭りをやってゐました。
いきなりマツヤマさんがC賞を出したため（「うわー、失敗したなー、当てちゃったよー。当てたくなかったなー」と嬉しさうに言ってゐました）、本日の祭りは最初から加熱気味。お互ひ、相手の出方を窺ひながら、杯を重ねます。
さうこうしてゐるうちに、ソバさんがB賞をゲット。マツヤマさんは平静を装ひながら、山崎を舐めてゐます。
と、なんと！グイグイと攻撃的に杯を重ねるソバさんが又してもB賞をゲット！

「えー、いくらなんでも、スピーカー二つも要らんわー。マツヤマさん、要ります？」

「え？ああ、いや・・・ボクは・・・ボクは・・・山崎もうひとつ！」

お、マツヤマさん、ここはもう、A賞狙ふしかないですよね。

「だからー、ボクは別に賞は狙ってないって言ってるぢゃないですか。純粋に、山崎が飲みたいだけなんだよ」

さうですか、でも、一応カードはひいて下さいね。

「・・・・・・これ、ちゃんとA賞入ってるんだらうね？」

もちろんです！　でも、そんなの、賞を狙ってないマツヤマさんには関係ないんぢゃないですか？

「いや、さー、一般的関心だよ。ちゃんと公平に祭りは行はれてゐるのか、といふ・・・。・・・あ！分かっちゃった！これだよ、これ」

さうなんですか？それ、A賞？

「間違ひなし！この厚みといひ、熱さといひ、正にA賞だよ」

なら、元に戻しますか？

「いやいや・・・、ま、戻すのも面倒だし、とりあへず、擦ってみるよ」

なんで、擦る前に祈ってるんですか？

「これは、一般的作法だよ！擦る前には祈る。ね。・・・・・・ああー、お願ひします！」パンパン！

柏手まで打たなくても・・・・・・

「あああああ！！！！」

マツヤマさんが、ひと擦りしたカードを見せてくれました。そこには、なにやら線の端っこみたいなものが見えてゐます。

「やった、やったかも。これ、この線の位置、A賞でせう！」

そこらには、B賞やC賞、そしてハズレのカードが散乱してゐます。それらと、その擦りかけのカードを較べてみると・・・確かに、そんな位置にはどのカードも線がない！

「これ、このカードに限って印刷がズレてるって事はないでせうね！」

そんなの、私には分からないですよ！

「ああー、どうしよう。当てちゃったかも・・・戻しませうか？これ、その箱の中に戻しませうか？」

そんな、もう擦りかけたんだから最後まで擦って下さいよ！

「いいんですか・・・、ぢゃあ・・・・、おおおー！」

そこには、はっきりと“アタリ　A賞”と書いてありました。

「おめでたうございまーす！」

「わー、凄ーい！」

「他人事ながら嬉しい。この現場に立ち会へて本当に良かった！」

「さすがマツヤマさん！」

「いやー、はっはっは、ありがたう。でも、いいのかなー、こんなの貰っちゃって。なんか、恥ずかしいなぁー」

「そんな恥ずかしがる事ないですよ。あれだけシングルモルトを飲み倒して得たものぢゃないですか。言ってみれば勲章ですよ。男の勲章」

「男の勲章か・・・。・・・・・・つっぱる事が男の〜♪」

「たったひとつの勲章〜♪」

「だって、この胸に信じて生きてきたぁ〜♪」

なんで嶋大輔なんですか！！！

「いやー、嬉しい。サントリーばんざい！」

「タワレコばんざい！！」

「オパールばんざーい！！！」

７月、京都は祇園祭。ハイボール祭りも、平行して沸騰中です。

今聴き返せば、日本語ラップの連中も真っ青の、パンチライン満載の曲だなー。