荒川修作初期作品展 [アート]
国立近代美術館に「死なないための葬送・・・荒川修作初期作品展」を観にいきました。
みなさん御存知の様に、荒川さんは先日お亡くなりになられた訳です。そして、これまたみなさんよく御存知の様に、荒川さんは「死は時代遅れだ」「死は法律違反だ」「我々は死なないことに決めた」などと言葉を発せられ、死なないために様々な活動を行ってゐた方です。そんな方が死んだなんて・・・・・と、多分この事に関するあれやこれやは、荒川さんの死が公表された途端に全世界のネット上で書かれ、囁かれたと思ふので、私はグッと我慢してこの事については書くまい!と決めてゐたのですが、結局かうやって書いてしまひました・・・。自らの弱さを痛感します。
ところで、この「荒川修作初期作品展」ですが、私はある事を確かめたくて行きました。出品されてゐるのは、木で作った箱の中に綿が詰めてあり、そこにセメントの塊が鎮座してゐる、といふ通称「棺桶シリーズ」です。 これは60年代初頭に発表されて話題を呼んだ作品群で、私も写真でしか観た事はありませんでした。当時の記録を読むと、会場に棺桶がゴロゴロ並んでゐて、鑑賞者は自らの力で棺桶の蓋を開けます。すると、そこに不気味なセメントの塊が現れて、みんなショックを受ける・・・といった感じだった様です。 そこで、私はフッと思ったのです。今回の展示では、新作がひとつ混じってゐるのではないか、と。我々が棺桶の蓋を次々と開けていくと、そのうちのひとつに死んだはずの荒川修作本人が入ってゐて、「死は法律違反です」と呟く。それを観て・聴いて、我々はショックを受ける・・・と。
いや、ね、私だってさすがにこの通りの事が起こるなんて思ってゐた訳ではないですよ。でも、何かないと、ねー、納得できないぢゃないですか。ただ死にました、では。
そこで、わざわざ大阪まで出かけて行った訳ですが、さて、如何に。 ドキドキしながら会場に足を踏み入れると・・・、な、なんと!棺桶に蓋がない!! ・・・あれー、をかしいなぁ、蓋があったはずなんだけど、私の記憶違ひかなぁ。・・・で、ひとつひとつ、中を覗いてみる。・・・う〜む、荒川さん、居ないなぁ。うーん。
自らの愚かさ加減を再吟味しつつ会場をぐるぐる廻りました。
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