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2008年08月09日(Sat)

ため息 河原町ラストデイズ

ババさんの事に関しては、今更ながら悔やんでも悔やみきれない事がたくさんあります。

その中のひとつに、「ため息」の問題があります。ため息・・・・・・、実はババさんは、この1〜2年の間、非常によく、ため息をついてゐたのです。

「ため息をつくというのは、世の中でいちばん悪いことです。ため息の中には夢がありません。そればかりか、夢を消して諦めや絶望を生み出します。」と言ったのは斎藤ひとりさんですが、正にその通りだと私も思ひます。実際、ここ1〜2年のババさんはあまりパッとしない様でした。

などと書くと、ババさんに対して失礼ですが、それでもやはりババさんの周りからはなんとなくドヨ〜ンとした雰囲気が漂ってきてましたし、突然頭を抱へて「ダメだー!」と呟いてゐる事も何度かありました。

そんなババさんに対し、私は仕事が忙しいのだらうと思ひ、「大変ですねー」と同情し、ババさんも「大変なんです」と答へる、といふ感じだったのですが、今になって考へると、こんなのではダメなんだー!

こんな、お互ひ傷を舐め合ってゐる様な会話は何の役にも立ちません。ため息に関しては、斎藤ひとりさんが素晴らしい処方箋を示してくれてゐたのです。それは、思はず「ふー・・・」とため息をついてしまったら、続けて「・・・幸せだなァ」と呟くのです。ううむ、なんと素晴らしい対処法だ。

私はこの処方箋を知ってゐたにも関はらず、ババさんに真剣に言ふ事はありませんでした。私自身、そこまで真剣に信じてゐなかったといふ事もありませう。しかし、今になってみれば、この処方箋は限りなく正しい。ババさんがオパールのカウンターでついた何百回といふため息、その後に必ず「・・・幸せだなァ」と呟いてゐれば、その後の我々の会話も変はってきたでせうし、ババさんの気持ちも変はり、違った発想、違った行動が生まれてゐたかもしれません。そして、ガンなどといふストレスがその主な誘発剤になる様な病気にはならなかったかも・・・・・・。

さう思ふと、私は後悔の念で胸がいっぱいになり、思はずため息をついてしまふのです。ふー・・・・・・、幸せだなァ。

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