スタッフの条件 [テラリー, 河原町ラストデイズ]
テラリーが来店しました。
すでにお忘れの方も多いと思ひますが、テラリーは元オパールのスタッフです。極々平々凡々たる大学生であったテラリーは、運命の悪戯か、前世の悪因か、なにかの間違ひでオパールのスタッフとなってしまひ、散々潰され、圧をかけられ、撹拌され、伸ばされ、叩きつけられ、捏ねくり回され、浸され、晒され、篩われ、放り散らかされ、醗酵、熟成(?)して、ヘンテコリンな大学院生となってしまひました。それが今や、どこにでも居さうでその実居るのかどうか良くわからないサラリーマンとなり、東京で労働。出張に引っ掛けて京都に戻って来、自腹でオパール向かひのロイヤルホテルのスイートに部屋をとってオパールまで遊びにくる様になりました。なーんか、よく分からないでせう?
「次の店では、新しいスタッフを入れるんですか?」
おう、もちろん。テラリーでおかした間違ひは二度とせんつもりやからな。
「・・・・・・ぢゃあ、どんな人を入れるつもりなんですか?」
さうだな、まづ、調理の心得のある人なんかいいな。
「うわー、いきなりハードル高いですねー」
さうか???やっぱ料理くらゐ出来んと。別にシェフを求めてゐる訳やないし。料理ができる、といふのは知性の現れやからな。勉強はできるけど料理はできへん、といふバカものは要らんねん。真に知性ある者を求む!といふ訳やな。
「相変はらず、ケンタロウさんが解説すると、話がドンドンややこしくなりますねェ。で、他には?」
うーん、やっぱ、音楽の好きな人がいい。特にブラックミュージック。
「あ、それは絶対ですね!・・・とはいへ、ボクはオパールに入った時、ブラックミュージックなんか聴いた事がなかったですけど」
全く、マーヴィンやカーティスを知らないなんて問題外やで。さういふのを無教養といふ。・・・でも、ま、若くて向学心・好奇心があれば、こんなの問題ではないけどな。
「他にはなにかありますか?」
ううーん・・・。さうや、ポー店長と仲良く出来る人。やな。
「わー、でたー!・・・・・・それは絶対中の絶対ですけど、それ、訳わかんないでせう、みんな」
さうか???なんで?
「だって、ポー店長って・・・。外人の店長さんが居るのかと思はれますよ」
ある意味、外人みたいなもんやん。人形やけど。
「それに、なんか凄く気難しい人かと思はれます。仲良くできる、といふのが条件なんて・・・」
あんな、テラリー。ニュージーランドのマオリ族の神話を知ってるか。
「は???」
ニュージーランドのマオリ族の神話によるとやな、原始には“ポー”と呼ばれる虚無・混沌があって、そこからこの世の全てが生まれてきたといふんや。つまり“ポー”とはこの世の始まり、一切を含んだ虚無であり混沌である、と。かういった物事の原初と仲良くできる、柔軟性に富み、物事の本質をズバリを突く様な人を求む、といふ事やな。
「うわわー、やはりケンタロウさんが解説すると物事がややこしくなるー!」
・・・あ、みなさん、半ば冗談ですよ、冗談。
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