玉三郎による昆劇 []
南座で坂東玉三郎による昆劇公演を観ました。
昆劇とは、600年の歴史を誇る支那の演劇で、世界の演劇の3大ルーツともいはれる由緒正しいものです。支那の演劇といへば、すぐに「京劇!」と浮かんできますが、京劇はもともと昆劇から生まれたもの。京劇の派手でアクションが激しく、ある種の下世話さに対し、昆劇は格調高く、品があります(とのこと)。
本場支那(現在の中国ね)でも、昆劇と京劇は全く観客層が違ふとか。そんな昆劇に、玉三郎が臨みます。それも中国昆劇院の人たちと合同で、ちやんと蘇州語でやるといふのだから、こ、これは面白さうだ!・・・と、意気込んで最前列の席をゲットし、南座に乗り込んだといふ次第なのです。
さて、この様な日本と支那の演劇の交流といふのは、以前からボチボチあつた様です。知つてる人は知つてるでせうが、市川猿之助によるスーパーカブキは、京劇の影響下に作られたものです。先代の猿之助が京劇界のスーパースター梅蘭芳(メイランファン)と交流があり、梅蘭芳一座を日本に呼んで京劇・昆劇を披露して貰つたり、自身も支那に行つて歌舞伎公演を行つたりした関係だつたのです。その当時、まだ若かつた現・猿之助がそれらに非常な感銘を受け、後にスーパーカブキ創作に至つた、といふ訳です。
日本から向かうに与へた影響もあります。梅蘭芳は女形のスターでしたが、現在の京劇・昆劇界では、実はほとんど女形は居ないのです。今や女性の役は基本的に女性がやるものとなつてゐる様です。この事情は、梅蘭芳の時代でも似た様なものだつた様で、その点、日本の歌舞伎の方に一日の長があります。梅蘭芳は来日する度に、雀右衛門などに化粧の仕方をはじめ色々と習つたりした様です。
その日本・支那演劇交流の歴史に玉三郎が新たな一ページを加へる!ジャジャーン!・・・と、いつた訳で、なにかと注目のこの公演なのでありました。
置きが長くなりましたが、実際の公演はどうであつたかといひますと、先程も言つた通り、全編蘇州語。舞台両脇に字幕つき。中国江蘇省蘇州昆劇院の方々による嵶やかで格調高い演奏、美しい衣装に夢幻的な歌・舞、おほどかで大時代的でロマンティックなお話・・・と、馥郁たる花の香りに陶然と酔ふ様な舞台で、気持ちよーく、気持ちよーくなつて・・・・・・気がついたら寝てました。
……最前列で爆睡!ふ、不覚なりー。
ま、例によつて睡眠不足でして・・・といふ言ひ訳はききませんね。同じく睡眠不足のはずのトモコは、私の横でしつかり起きて舞台を堪能してをりましたし、他にも同公演をみたユキエさん、ベッチ、ウエナカさん、アキラ28000も、みな「面白かつたー」と言つてゐましたし。
しかし、かういふのも贅沢な演劇体験といへない事もないよーな気もするよなァ。
Comments
投稿者 サエコ : 2008年06月06日 16:09
いつも良いお席で観劇されているようですね。
わたくしは北海道在住なのですが、
こちらにはあまり観劇施設がなくて、
そういった習慣も老若男女問わず定着していません。
最後にみた大きな舞台は高校生の時学校で連れていかれた劇団四季です。
なんだか羨ましいですなあ。
投稿者 店主 : 2008年06月07日 05:02
私は映画も歌舞伎も(可能なら)前から3列目までで観たいと思つてをります。でないと、なんだか観た気がしない。確かに、歌舞伎は少々値が張りますがー。・・・
北海道に較べたら、まだ関西は観劇に関してましな環境なんでせうか。
でも、私は歌舞伎に関しては東京が羨ましくて仕方が無いですよ。ホントに。ああー、歌舞伎座ー!!!(7月の海老蔵の千本桜が観たい!!!)
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