石川九楊展 [書・篆刻]
実を言ふと昨日は、花見だけでなく、烏丸大丸でやつてゐる「石川九楊展」にも行つてきたのであつた。
そもそも私が書を始めたのは、石川九楊の影響が大きい。と言つても石川九楊の“書”に影響を受けた訳ではなく、“文章”の方に動かされた訳だが、そんなこんなで“書”を始めたらいつの間にか“篆刻”になつてゐて、しかもそこでは石川九楊の作品に対する厳しい意見を結構聞かされたりして、それまで石川九楊の作品を雑誌や本で見てなんとなく「面白いなー」と漠然と思つてゐた私は、様々な再考・吟味・模索を迫られたりしたのであつた。
で、初めて石川九楊の作品群に大量に触れた感想。やはり、…面白いぢやん! 特に、初期作品がいい。「エロイ・エロイ・ラマ・サバクタニ」や、副島種臣に触発された作品、李賀詩シリーズなど。私も自分で作品を作つてみてつくづく思ふのだが、いはゆる“上手い字”を定型通りに書いた作品ほど面白くないものはない。面白くない、といふより、そんなものは死んでゐる。文人趣味、南画的な世界も、見てゐる分には興味深いが、いざ自分でやるかとなると、それはどうかと思ふ。少なくとも、今の日本では、そのまま文人を気取つても、意味がないと思ふ。となれば、どうするのか。現代における書とは…。などといふ藻掻きが、初期の石川九楊作品には溢れてゐて、非常に共感できるのであつた。
では、そのやうな模索の果てに辿り着いた、いはゆる“石川九楊スタイル”の作品群はどうなのか。うむ。これも、なかなか面白い、とは思ふのだが、これが果たして“書”作品なのか、と言はれると、答へに窮してしまふ。本人はもちろん字を書いてゐると主張するだらうが、どう見たつて“絵”にしか見えないものもたくさんある。正直、これに対する答へはまだ用意できてゐないのだ。ホントはもう少し肯定的な評を下すつもりだつたのだけれど…。
石川九楊の最近の作品で、911を主題にした作品群がある。これを初めて雑誌で見た時、「あ、素晴らしい! やはり石川九楊凄いぢやん!」と感心したので、今回もそれらを見るのを楽しみにしてゐた。が、いざ実物を見てみると、これが意外によくなかつたのである。なんか、気の抜けた作品に思へたのだ。ううーむ、これは、どういふ事なのか。単に私の眼がついて行つてゐないのか。
みなさんも、自分の眼で確かめてください。4月25日(火)まで。
Comments
投稿者 kawakita : 2006年04月21日 15:19
こんにちは。kawakitaです。
おひさしぶりです。
実は今年、石川九楊先生のお話を聞く機会がありまして、
(『「二重言語国家・日本」の歴史』出版記念)
漢字と仮名の歴史の面白さとともに
わずかではありますが書の奥深さを実感しました。
http://d.hatena.ne.jp/kwkt/20060119#p1
『「二重言語国家・日本」の歴史』を購入してサインもいただいてしまいました!
いただいたサインのはまさにこんな感じ(↓)でした
http://img2.mixi.jp/photo/comm/37/66/103766_181.jpg
投稿者 店主 : 2006年04月22日 17:01
Kawakitaさん こんにちは!
こちらこそ、お久しぶりです。いやー、それにしても、Kawakitaさんはホントに何にでも行つてゐますねー。その好奇心・行動力には頭が下がります。で、キチンとサインなんか貰つてゐるところがまた!はずしなし、と言つた感じで最高です。
石川九楊は非常に興味深い人ですよね。Kawakitaさんも作品はご覧になられましたか?ちなみに、私は一応、サインは“石 川 九 楊”と読めます。
投稿者 kawakita : 2006年04月24日 12:48
kawakitaです。お返事が遅くなりましてもうしわけございません。
> Kawakitaさんも作品はご覧になられましたか?
トークのときに大丸京都ミュージアム作品展の宣伝はされていましたが、
こちらでは作品を直に見る機会がない状態です。
いつか見てみたいと思っております。
そのときに2/25に全作品集を出されるとも仰っていたのですが、
無精者ゆえこちらもまだ見ていません・・・。
> ちなみに、私は一応、サインは“石 川 九 楊”と読めます。
おお~。ということはちゃんとサインいただけてたということですね。よかったw
コメントしてください