こぐこぐ自転車 [読書・文学]
朝から雨。それも激しい雨。今日はオパールに出勤する前にジムへ行く予定だつたのだけれど、あまりの雨の激しさに断念。「風が吹いたら遅刻して、雨が降つたらお休みで〜」とカメカメハの歌を口ずさんで自分の気持ちを納得させる。
代はりに、ババさんから借りた本『こぐこぐ自転車』を読む。この本の著者は伊藤礼。伊藤整の息子だといふ。と、言つても、もう大学教授を退職したお爺さんである。その伊藤礼が、古希を目前にしていきなり自転車に目覚めてしまひ、自転車をこぐこぐ。その様、その自転車体験から得た様々な感慨・知見を記したのがこの本である。そもそも私は、老人が老境に至つてからも何かを始める(無限成長!)、といふのが好きなので、最初から興味津々でこの本に取りかかつた。そしたら案の定、凄く面白かつた。といふ次第だ。
とりあへず、この人、文章がかなり面白い。最初は天然か? とも思つたのだけれど、しばらく読むと、わざとやつてゐる、といふのが分かつてくる。技なのだ。老人力と見紛ふ老練の文章藝。これによつて、自転車にあまり興味のない人でも十分楽しめると思ふ。ていふか、自分も自転車に乗つてみたくなるだらう。
私も前々から自転車が欲しいとは思つてゐる。が、それでも未だに自転車を持つてゐないのは、様々な理由がある訳で、中でも最大のものは多分、自転車を持つと機動力が上がつてしまふ、といふ事だらう。特に京都においては、自転車があればかなりの所に行けてしまふ。そんな事になれば、伊藤礼のやうにすでに隠居した人ならいいが、ただでさへ多すぎる課外活動にヒーヒー言つてゐる現在の私など、どう考へても時間が足りない。課外活動のせゐで、本当にオパールをやめてしまふかもしれない。そして自転車に乗つてそのまま失踪。“廃棄可能な人々”として小泉傀儡政権下の日本国から抹消されてしまふのであつた。嗚呼。
亀鳴くや自転車乗りの赤い舌
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