カズ16の手品 ［etc］
カズ16来店。さういへば、もうすぐ花見の季節ぢやないか。今年の手品ショーは完璧なんだらうな、カズ。
「いえ」
いえ、ッて…。もしかして何も準備をしてないの？
「はい」
はい、ッて…。ぢや、どうするつもりなんだ？
「さァ」
さァ、ッて…。また去年みたいなドン引きになつたらどうするんだ。私は今までの人生で、あそこまで寒々しい雰囲気を味はつた事がないぞ。もう、死ぬかと思つた。今年もあんなんぢや、ホントに死人が出るかも。さうなつたら、困るだらうが。
「まァ」
まァ、ッて…。無責任だなァ、あれから1年間もあつたんだぞ。その間、何もしてなかつたのか？
「ええ」
ええ、ッて…。何を考へてゐるんだ！ 大体カズはいつでも人任せ、何でも他人がお膳立てしてくれる、最終的には助けてくれると思つてゐるやうだけど、それは甘いぞ。もつと自分で道を切りひらく、自分で考へ、行動し、物事を成す、といふ気概が必要だ。
「…」
…、ッて…。なんで黙つてゐるんだ。
「…」
…、あ、さうやつて黙つて頭を下げてゐれば、勝手に嵐は過ぎ去つていく、と思つてゐるんだらう。
「…」
甘い、甘いぞ、カズ！ さうは問屋が卸しはしないんだよ！
「…」
うーむ、果たしてどうなる事やら。…防寒具でも用意していくか。
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