急がば疑え! [読書・文学]
日垣隆著『急がば疑え!』(日本実業出版社)を読む。これは週刊誌「エコノミスト」に連載してゐる「敢闘言」の単行本化作品である。
思へば私が最初に日垣隆の著作を買つたのは、同じく「敢闘言」を単行本化した『敢闘言 さらば偽善者たち』(太田出版版は品切れ/文春文庫版)であつた。店頭に積んであつたその本を何気なく手に取り、パラパラと立ち読みを始めた私は、しばらくして全身を電流が走りまはるやうな興奮に捕らはれ、震へた。こ、これは素晴らしい文筆家を見つけたかもしれん! 私はそのまま、頭に血を上せたままレジへと向かつた。
などと書くと、何を大袈裟な! と言はれるかもしれませんが、私は年に一度くらゐは、こんな体験があるのですね。素晴らしい作家を見つけたかもしれない、といふ興奮。むろん、その後、その本を読了するのは当然として、その作家の本を集めまくり、雑誌などでも見つけたら必ず読むやうになります。で、その結果として、熱が収まることも多い。といふか、そちらの方が多い。が、何人かは自分の中で特別な存在として残るのですが、日垣隆はその一人であつた。
次に私のやる事は、その著者を周りの人に薦めまくるといふ事。と言つても、誰彼構はずといふ訳ではなく、この人ならいけるかも、と私の思つた人にだけ薦めるのですが、それ故か、大抵は受け入れて貰へます。で、いつの間にか私より熱心なファンが周りに増え、私自身の熱は少しく収まる…といふ経過を辿ることになる。あれ? 熱が収まつたのか? …いや、確かに新刊が出たら必ず発売日に買ふ、といふ事はなくなつたものの、日垣隆の本は(手に入るものは)ほぼ全て買つてゐるはずです。そして読むたびに、やつぱ日垣隆はいいわー! と感心してゐます。最近は『いい加減にしろよ(笑)』(文藝春秋)を読んで、やはり感銘を受けました。
私が最初に『敢闘言』(太田出版)を読んだ時、そのひとつひとつの短い文章の中に、どれほどの情報と智慧が籠められてゐるのか、と、頭をクラクラさせながら読んだのですが、この度の『急がば疑え!』は、同じ連載・同じスタイルとはいへ、この6,7年で日垣隆の本をかなり読んだこともあり、さすがに予想を遙かに超えたやうな文章はあまりなく、どちらかといへば感無量、といつた感じでした。ああ、相変はらずいい仕事してるなァ、と確認する感じ。が、もちろんこれらの文章ひとつひとつには、前著と同じくらゐの情報と智慧、情熱が籠められてゐるので、未だ日垣隆を読んだ事のない人に、是非読んで貰ひたい! と、またしても強く薦めてしまふのでした。オススメ!
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