最近の若い奴は [可能涼介さん]
可能涼介来店。我々も今年で37歳になる訳だけれど、ま、若いといへばまだ若いが(大西巨人より50歳ほど若い)、歳をくつたといへば歳をくつてゐる(2PACは25歳で死んでゐる)。そんな二人が、いやー最近の若い奴はダメだねー、などと話し合ふのは、なんとも寒々しい光景であるが、性懲りもなくそんな会話を交はしたりしたのであつた。
「いや、ホント、最近の若い奴は、ミステリー好きの奴でも、夢野久作を読んでゐなかつたりするんだよ。また、読む気もない。困つたもんだよなー」
さういへば、RCS のサトウさんも、最近はみなみ会館でゴダール特集をやつてもほとんど人が来ない、と言つてゐたな。まだ10年ほど前は来てたらしいよ。若々しい、大学生成り立て! みたいな子らが。
「普通、好き嫌いに関係なく、これは見ておかなくちやならない、みたいなのがあるぢやない。ま、教養ッて、いふのか。そんな感覚、全くないよな、今の若い奴には。それで平気だし」
さういへば佐々木敦も、最近の若い音楽好きな子らは、結構マニアな連中でも、コーネリアスやエイフェックス・ツインを知らない、情報のリテラシーが落ちてゐる、と言つてゐたな。だから何か言ふ、批評するにも、その前提条件が欠けてゐるから、まづそこを埋めなくちゃならない。何かを言ふところまで行くのがもの凄く大変で、暗澹たる気分になる、と言つてゐたよ。
「そんな連中が編集者とかになつてゐるから、もう無茶苦茶なんだよ」
さういへば、小説の世界も大変みたいだな。ッて、いふか、なんか激変してゐるんだらう? 文学なんて無くなつてしまつたみたいだし、ラノベとかセカイ系とか、全く系統の違ふものが伸してきて、過去との繋がりが断たれつつあるらしいぢやない。
「まァ、さうなんだよ。でも、関係ないよ、オレたちには」
…あ、でも、一寸読んでみようかなー、とか思つてゐるんだけど。
「ええ! さうなの? …凄いな」
いや、まー、根がミーハーだからね。ははは、すまん。
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