京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal：Home

　この映画は、全てをスタジオで撮影したといふ。つまり、役者はみんな緑色のスクリーンの前で演技し、後から画面にCGなどで全ての背景をつけたのだ、といふ。場合によつては同じ場面に出てゐる人たちもバラバラに撮影したといふ。で、これはマンガが原作なのだけれど、非常にマンガッぽい雰囲気の画面になつてゐる。実写で作られたマンガ映画、といふか、とにかく観てみなければ分からない奇妙な世界が展開してゐるのだ。故に、それらを観てゐるだけで面白かつた。もともとロドリゲス監督の美意識は好きなので、細かい所で色々と楽しめたし。だから、凄く面白かつた、とも言へるのだけれど、どうにも“話”が退屈だつたのだ。ここで言ふ“話”とは“ストーリー”の事ではない。ま、ストーリーも大したものではなかつたが、なんといふか、“語り”そのものが一本調子で退屈、といふか。これは前作（？）の『レジェンド・オブ・メキシコ』でも感じたのだけれど、一寸語りの技術が落ちてゐないか、ロドリゲス。なんか緩急がない、といふか、この映画世界に馴染めない人にとつては、えらく退屈だと思はれる。実際、私の後ろで観てゐた人は、「つまらん」と吐き捨てて途中で出ていつてしまつた。んー、なるほど。

　個人的にはデヴォン青木が最高だつた。殺人マシーンミホ！　といふ役なのだけれど、もう謎の格好をして、手裏剣まがいのモノを投げたり、日本刀（たぶんハットリハンゾー製）でバッサバッサと斬りまくつたり。デヴォン青木が出てくるたびに、私の脳内にはアドレナリンが噴き出て、ウォー！　と小さく叫んでしまつた。うーむ、最近はゆるくなつて、すぐ声を出すからアカンなァ。

　この『シン・シティ』、すでに続編の制作も決まつてゐるといふ。意欲的な試みだし、応援したいのだが、“語り”の方は大丈夫か？　と一抹の危惧を覚えざるを得ない。さすがにあんまり退屈な“語り”が続くと、私も行く気が鈍るかもしれないので。が、デヴォン青木とジェシカ・アルバが出てゐればそれでいいかな。