野球=ノボル? [読書・文学]
私は2003年6月9日の日記で、“野球”といふ訳語を作つたのは正岡子規、それも自分の本名のノボルをあてて“野(ノ)球(ボール)”とした、などと得々と記してゐるが、これはどうやら間違ひであつたやうだ。“野球”といふ訳語を作つたのは、本当は第一高等中学校野球部部員の中馬庚といふ人らしい。実際、中馬庚は、訳語を作つた功績により、1970年の野球殿堂入りを果たしてゐるさうだ。うーむ、さうだつたのか。ちなみに、正岡子規が野球と関はりが深かつたのは事実らしく、彼も2002年に野球殿堂入りしてゐる。「ノボル=野球」といふのも根拠のない話でもなく、実は彼は俳号のひとつとして“野球”と名乗つてゐたらしいのだ。私の俳号“煙草(えんさう)”に似てゐる、かな? とにかく、子規は野球大好きで、もちろん野球に関する俳句も多く詠んでゐる。「草茂みベースボールの道白し」など。当時はまだ一般的でなかつた野球の普及に大いに貢献した、といふのが殿堂入りの理由らしい。なるほど、ねー。
私が自分の間違ひに気がついたのは、ホラ、店が暇でさ、隣の本屋に行つてブラブラと立ち読みなんかをしてゐる時に、たまたま上記の事実を記した本にぶつかつたからである。その本とは、『「話のネタ」のタネ500』日本博学倶楽部(PHP文庫)。様々な雑学を収めた雑学事典みたいな本である。ウソみたいな話だが、何気なくこの本を手にとつて、パと開いた所にこの話が載つてゐたのだ。こ、これは…この本を買へといふ事か、としばし悩みながらページを繰つてゐると、次に目に止まつたのが「『スターウォーズ』のヨーダ、モデルは日本人!?」といふ項。これで、この本を買ふ事を決意した。これは、私に買へと誰かが命じてゐるに違ひない。タイムリー過ぎる。実を言ふと数日前、ババさんから「副島隆彦がメチャメチャ面白いスターウォーズ論を書いてゐましたよ! その中に、ヨーダのモデルは猫だ! といふのがあつて凄いです。副島隆彦は、自分の飼ひ猫の顔をビヨ〜ンと引つ張つてゐる時に、ハ! これはヨーダに似てゐる! と気がついて、この案を思ひついたさうです。最高!」といふ話を聞いてゐて、大いに感銘を受けてゐたのである。
ちなみに、この本によると、ヨーダのモデルになつたのは映画脚本家の依田義賢(ヨダヨシカタ)。名前も似てゐるし、風貌もなかなか似てゐるといふ。ジョージ・ルーカスが公認した訳ではないので真相は分からないが、マニアの間では密かに囁かれてゐる説ださうだ。なるほど、一考に値する。が、ジョージ・ルーカスが猫の顔をビヨ〜ンと引つ張つてゐて思ひついた、といふ説も捨てがたいなァ。
それにしても、それ以来たまにこの本をパラパラと捲つてみるのだけれど、新たな啓示はない。むーん、どうした事か。
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