BELLY 血の銃弾 [映画]
DVDで『BELLY 血の銃弾』を観る。主演はナズとDMX、共演にT-BOZやメソッドマンも出てゐて、音楽はクールなR & Bやヒップホップ、といふ典型的なブラックムービー。ストーリーもまんま典型で、ストリート出身のブラックが強盗やドラッグディーラーをして荒稼ぎをしてゐるが、色々あつて最後は改心する、といふもの。それがちやうど世紀末に合はせて描かれ、新しい世紀の始まりと新生を重ねてみせる、といふのが工夫をしたところ、かな。
監督はヒップホップのミュージックビデオをたくさん撮つてゐるハイプ・ウィリアムス。と、きたら予想される通り、映画といふより長いミュージックビデオといつた趣の作品である。やたらとクールでカッコイー映像が頻出するのだが、ストーリー展開や人物の内面描写などがほとんど“語り”でなされる。映画としてみればアチャーッてなもんだが、なぜか楽しめてしまふんだよねー、これが。なんでだろ?
とはいへ、違和感もやはりある。まづ、彼らはバンバン人を殺してゐる訳だが、それが改心して悪の道から足を洗ふだけで帳消しになる、といふのがシックリこない。彼らの街では殺人なんて日常茶飯事、殺るのもどうせ悪人ばかり、殺らなければ殺られる、などの理由はあるのだらうが、それでも、違和感は消えない。スパイク・リーならこの点をキチンと描いたんぢやないだらうか。
次に、これはブラックムービー全般、いやもしかしたらアメリカ映画全般に言へる事かもしれないけれど、貧乏人の住んでゐるところがやたら立派(?)なことだ。職もない、金もない、とぼやいてゐる奴らが、部屋が何部屋もあり、立派な家具も完備した家に住んでゐる。そこでゴロゴロして暮らしてゐる。なんだ、これは? この映画の場合は、犯罪で荒稼ぎをしてゐる設定なので、まだ分からないでもないが、それでも「金がない」「大金を手に入れてこんな生活から抜け出し、豪華な暮らしをするんだ!」と言つたセリフがよく出てきてゐた。こんな生活ッて…。かういふのを観るたびに、これがアメリカと日本の国力の差か! と愕然となるし、考へてみればこれらのお金は、我々が働いた分を政府が吸ひ上げてアメリカに貢いでゐるんぢやないのか! と、怒りも湧いてくる。とにかく増税連べ打ちの小泉政権は戦後最悪の政権である事は間違ひなく、肥大した官僚機構とともに一刻も早く潰してしまはなければならない。と、改めて確認した次第であつた。
ブラックムービーは、政治的なのです。
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