俳句の会(名称未定…?) [俳句, マツヤマさん]
私が店に行くと、マツヤマさんとテラリーがカウンター席に並んで座り、仲良く俳句の話をしてゐた。二人とも本を何冊か買ひ込み勉強し、毎日何句か実作もして研鑽を積んでゐる。交はす会話にも、自然と熱が籠もつてゐる感じだ。そこには同じものを目指す者たちの間に生まれる、秘やかで熱い連帯感が感じられた。
「キミは本当に負けず嫌いだなァ」
「いや、ボクに言はせると、マツヤマさんの方こそ負けず嫌いですよ」
一見もめてゐるやうだが、その裏には親愛の情が満ちてゐる。より良い句を作らう、といふ意味において、二人はライバルなのだ。だからやはり競ひ合ひ、対抗しあふ、といふ事はあるが、そこには他の者が入る事ができない、特殊な絆がある。まさか二人がこのやうな関係にならうとは。私は一種の感慨にふけつた。
「テラリーッて、なんか偉さうなんだよな。」
「ええー! ボクはただ普通に返事をしただけですよ。それでそんなこと言はれても!」
「いや、テラリーは普通でも、受け取る側はさうとは限らない」
「分かりません! 分かりません!」
なんだか…本当にもめてゐるやうだが、大丈夫かな? いや、でもテラリーもまだまだ子ども。マツヤマさんに鍛へられて、大きく成長するであらう。なんて、勝手なことを言つてゐますが、私はこの二人とも水盃を交はし、明日からマカオに行かねばならないのだ。うーん、飛行機に乗るのがイヤなんだよね。落ちさうで。なんにせよ、無事に帰つて来た暁には、俳句の会(名称未定)が待つてゐる。
「いや、もう名称未定ぢやないですよ。ッていふか、とりあへず名称を決めませう! とにかく試行錯誤していくんだから。それで、もしより良い名称が浮かんだら、それに変へると言ふ事で」
なるほど。で、とりあへずの名称とは何なんですか、マツヤマさん?
「それはもちろん! 『俳句チェンバー』ですよ!」
ガーン! さうきたかー!
てな事で、みなさん行つてきまーす。
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