ジェンガバトル大会始まる [ウメドン, マツヤマさん, バトル]
ウメドン & アツコさん来店。さうか、来てしまつたか……。では、始めるか。
「え? な、何を始めるんです?」
もちろん、ジェンガバトル大会だよ!! ウメドン!
「ええー! そ、そんないきなりー!」
いきなりもクソもあるか。もうすでに“あみだくじ”で対戦表は作つてあるんだ。これは勝ち抜き戦だからな、一度負けたら終はりだぞ。で、最初の組み合はせにアツコさんVSユキエさんといふのがあるから、今から二人に闘つて貰ひます。
「うえええー!!!」
なんでウメドンがそんなに騒いでゐるんだ! 関係ないだらう。ウメドンはババさんとだから、また今度な。他人の試合であまり騒がないやうに……と、いふ訳で、アツコさん VS ユキエさんの闘ひが始まつたのだが、やはりといふか何といふか、ウメドンがうるさい! いや、声を出してゐる訳ではない。が、全身から出してくる緊張感がうるさいのだ。アツコさんとユキエさんは、案外楽しんで試合をやつてゐる。その横で、ウメドンが足を揺すり、天井を睨み、息を詰める。なにをやつてゐるんだか。…と、ガラガラガッチャーン!!! アツコさんがジェンガを崩してしまつた。残念!
「あああ〜、ホッとしたー」
なんでやねん。そんなにメンタルが弱くてどうする、ウメドン。とにかく、ユキエさんは2回戦進出。
マツヤマさん & フクイくん来店。さうですか、来てしまひましたか……。では、やりますか。
「え? なに? ジェンガ? ボクとですか? それはそれは、早速やりませう!」
実は、マツヤマさん VS 私、なのである。マツヤマさんは何と言つても優勝候補。対して私はジェンガ初挑戦である。これは厳しい闘ひになりさうだ。が、考へやうによつては、気が楽だとも言へる。相手の胸を借りる気持ちで臨めばいいのだ。実際、なかなかいい試合になつた。いや、自分で言ふのも何だか、案外できるもんだね、ジェンガ。マツヤマさんは“攻めの抜き”なので、すぐに塔はグラグラし始めたのだけれど、ドンドン高くなる。いくらでも抜き、高く積める感じがする。最初は余裕を見せてゐたマツヤマさんにも、微かに焦りの色が見えてきた。最後には「もう、決めてしまひませう! ね、そんなに頑張らないで!」とまで言ひ始めた。ところが、これがいけるんだなー。もうどこも抜くところがない、と思はれるジェンガの塔。私は慎重に抜けるやつを見つけだした。よし! これで勝つたかも……と、いふ気の緩みが命取りになる。とは古来言ひ伝へられてきた事だけれども、人間といふのは経験からなかなか学ぶことができず、相変はらず同じ間違ひを繰り返す生き物だといふのは現下の世界情勢を見れば明らかな訳で、戦争は絶えず、環境は破壊され、悲惨と悲哀は相も変はらず世に満ちてゐる。このままではいけない。明日からたとへ小さな事でも、世界を良くするやう努力しやう。と、崩れ落ちたジェンガをみながら、私は固く誓つたのでした。
といふ訳で、マツヤマさんが2回戦進出です。
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